2013 | ナノ


ジン・フリークスは戸惑っていた。その雰囲気を表に出すわけではなかったが、その光景があまりにも日常化されてしまいそれに慣れてしまった自身に戸惑っていた。そして遂に思いに思っていた疑問を口にしたのだ。


「お前等って付き合ってんの?」


咥え箸をしながら目の前に座っているカイトとナマエに訊いた。その質問に対してナマエは、は?と何とも気の抜けるような声を出しながら目蓋を開閉させ、カイトはすすっていた味噌汁が変なとこに入ったのか咳込んでいる。あれ、もしかして違った?俺の言ったことを理解できたのか、先に口を開いたのはナマエだった。というか未だにカイトは咳込んでいる。大丈夫か、お前。


「どこ見てそんなこと言ってんですか!?」
「だってお前等名前呼ぶだけで醤油取ったり胡椒取ったり…何?意思疎通してんの?なんなの?むしろ熟年夫婦なの?」
「その発想はなかった。というか大体何がほしいのかなんてわかるでしょ、目線だったり行動で」


いや、わかんねーよ。こいつら無意識でしてたのか?と少し呆れるような、感心するような気持ちになる。お前等ハンター試験で初めて会ったとか本当は嘘なんじゃねーの、と疑いたくなってしまうくらいだ。咳込んだせいで背中を擦られていたカイトは、ようやく落ち着いたのか俺のせいだと言わんばかりの目つきで睨んでくる。俺悪くないんだけど。睨んでくるカイトを無視するかのように飯に手をつけた。

食事は当番制で回してやってるが、ナマエの料理は俺からすると薄い。故郷の料理だというが、こんな薄いものなのか?そう言うと文句言うなら食うなと言われるので言わないが、お前俺の料理を初めて見たときに男の料理だ!と遠回しに文句言われたことを忘れてねーからな。


「ナマエ」
「はい」

不意に伸ばす手、渡された醤油
「な、なんでわかった…」
「だからさっきそれを言いましたよね、私」
つまりこういうことです。

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