狩人短編 | ナノ

学パロ


ぽかぽかとした日光が当たる窓際、先生からは見えにくい一番後ろの席、昼食を食べ終わったあとの授業、黒板に書かれた数字数字数字数字、おまけに解説という名の子守歌付き。こんな素敵な五限目は意図的に作られたものだろう。ナマエは朦朧とする意識の中そんなことを考えていた。ふと横の席を見てみると気持ちよさそうに居眠りをするクロロくんの姿。一見真面目にノートでも取っているかのように要領よく眠るクロロくんの姿につい感心してしまった。


クロロくんはモテる。他校の子が告白しにくるくらいには。そりゃあこれだけ整った顔をしていれば当然っちゃ当然なんだろうが、整った顔だけでは終わらないからこそよくやるなぁなんて呆れたくなるほどモテるのだ。頭脳明晰なうえに愛想もいいし、だからといってくそ真面目かというとそうでもなく、今のように居眠りをしたりもする。いくら校則がゆるい学校とはいえ本当に真面目ならこんなでかでかとしたピアスもつけるわけがない。まるで演じているかのようにちょっと抜けているところがまた、乙女心をくすぐる要因だろう。

しかし私は他の女子と同じようにクロロくんに対して目をハートにしているわけではない。だからクロロくんの隣になったときみんなからは羨望の目を向けられていたが、正直私は別にどうでもいいし変わってあげてもよかった。じゃあなぜ変わらなかったのかと訊かれれば、その羨望の目を向けていた女子の人数が多かったことと、何よりもこの席が最高の場所だったからである。
そしてそのとき私はすでに知ってしまっていた。彼が“まるで”ではなく、“本当に”優等生を演じていることを。

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