Happy Helloween | ナノ


「持ってねぇんだ?」


ニヤリと笑ってあえて聞き返せばクロロは露骨に嫌な顔をした。そんな顔されると余計にイタズラしたくなるだろうが!ま、持ってないんだからイタズラはするんだけど。


「じゃあ、クロロには悪いがイタズラするっきゃねーな」
「おい、ちょっと待て」
「ん?」
「イタズラって具体的に何をするつもりだ?」
「それはな、はい、ここ注目」


俺は後ろに回してた左手をクロロに見えるように突き出した。その手には毎年クロロにあげているかぼちゃプリンが握られている。


「ジャジャーン!」
「それは……」
「今年のかぼちゃプリンは超絶うまいと言われているが離島すぎてなかなか行くことができない洋菓子店のやつでーす!しかもクモワシの卵使用らしくてすっげー濃厚らしいぜ」
「……それで?」
「それでー、これをー」


かぼちゃプリンの蓋を外し、事前に用意していたスプーンを取り出す。そして、


「俺が食べます」
「おい!」


予想していたクロロからの制止の声にかぼちゃプリンにさそうとしていたスプーンを直前で止めた。


「んだよ」
「オレにやるためにわざわざ買ってきたんじゃないのか!?」
「おーまあそのつもりだったけど予定が変わることもあるよな」
「予定は予定通り進めるべきだろう」


「たしかにそれも一理あるな」と言って俺は頷いたが、すぐに「臨機応変っつー言葉もあるんだぜ」と言葉を続けてかぼちゃプリンを口の中へと放り込んだ。わざと一口を大きくしたせいかこのペースだとあっという間になくなってしまいそうだ。そんな俺を見たクロロは「あ」と声を漏らし間抜けな顔をこちらに向けている。幻影旅団の団長がプリンごときにこんなんで大丈夫なんだろうかと呆れたくなるがプリンごときと表現するには失礼なほどこのかぼちゃプリンはうまかった。なんだこれめっちゃ口の中でとろける。思わず俺はもう一口、もう一口と手を止めることなくかぼちゃプリンを口の中へと運んだ。


「あ、最後一口」


気付けばもうなくなっていて、目の前にいるクロロは間抜けな顔から驚くほど情けない顔に変わっていた。いや、今の顔も十分間抜けか。というか盗賊なんだから欲しいもんは黙って見てないで奪えよ。そう言いたくなるが言う前に俺は最後の一口も口の中へ放り込む。再びクロロのほうから「あ」と声が聞こえたがもうかぼちゃプリンは俺の口の中である。どうすることもできない。このときのクロロの顔といったら情けなさすぎてイタズラとはいえ俺は少し申し訳ないことをした気分になったが罪悪感は湧かなかった。なぜなら実はこうなるんじゃないかと思ってもう一つかぼちゃプリンを買っておいたからだ。でもクロロが面白いからあげるのは今じゃなくてもう少し後にすることにしよう。


「おいしかったぜクロロ」

Happy Helloween!

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