Happy Helloween | ナノ


クロロは驚いたように大きな丸い目を瞬かせた。こんな反応されるんじゃないかなぁとは思ってたけどまじでドンピシャだな。なんだかそれが嬉しくて俺はニカッと笑った。


「まー去年までの俺なら絶対に言わなかったけどな」
「だろうな」


フッと鼻で笑ったクロロは読んでいた本に栞を挟んで中断し、近くの机の上に置いた。昨日の夜にここでクロロを見掛けてからここ以外で見掛けなかったからもしかするとずっとここで本を読んでいたのかもしれない。体に悪いしこいつ飯とかちゃんと食ってんのかよと思いつつも、これはイタズラ確定かな、と半分楽しみながら俺はお菓子を催促することにした。


「で、あるの?ないの?お菓子」
「一応準備しといて正解だったみたいだな。ほら」


今度は俺が目を瞬く番だったようだ。俺からはクロロで隠れて死角になっている場所からお菓子の詰め合わせような物を出したクロロに驚くと、クロロはしてやったりと言わんばかりの得意げな顔を俺に向けた。うっわ、なんか悔しいな。でもこれを見越していたクロロに当然嬉しさも感じた。


「さすがクロロ、あいつらとは違うわー」
「あいつら?」


誰のことかと聞いてきたクロロにあいつらが団員のことを指していて、しかも今までの俺が俺だからまさかイベントに便乗すると思わなかったみたいだと教えれば「ああ、なるほど」と簡単に納得してくれた。当然といえば当然だろうが、今思えばシャルの反応とかすっげー見物だったなと笑いそうになる。


「でもクロロはちゃーんと準備してると思ってたぜ」
「……理由を聞いてもいいか?」


理由なんて一つしかないのにクロロに理由がわからないというのか。そう思ったが別に隠すことでもないため俺はあっさりと答えた。


「クロロが俺のことを俺よりも知ってるからだよ」


嬉しそうに笑いながら答えればクロロは少し眉間に皺を寄せて「……今のオメガはわからないことだらけだけどな」と言った。クロロのくせにバカだな。それでもクロロはこの世界で俺のことを一番知ってるやつなんだよ!

Happy Helloween!

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