Happy Helloween | ナノ


いつもならここでかぼちゃプリンを差し出してくるはずが、珍しいことに詫びの言葉が返された。しかし本当に悪いと思っているのかと言いたくなるほどオメガの表情は一ミリも変わっていない。


「今年はないのか?」
「ないわけじゃなかったんだがさっきウボォーがな」


ウボォーがオレのかぼちゃプリンを?なんてことをしてくれるんだと殺意を覚えたがいつもお菓子を用意しているあのオメガに今回はイタズラができるわけなのだからある意味これはチャンスなんじゃないかと考え直す。……もちろんウボォーにはあとできっちり落とし前をつけてもらうけどな。オレが不機嫌そうな顔をニヤリとした顔に変えオメガを見ると何かを感じ取ったのか、オメガのオーラが少し揺れる。そんなオメガに「じゃあイタズラだな」と言えば少し揺れただけのオーラが珍しく大きめに揺れた。まぁ大きくといってもオメガにしては、だが。


「おい、ウボォーから貰えばいいだろ」
「ナマエから貰わなくちゃ意味ないだろ」


ウボォーから貰えばそれはオメガから貰った意味にはならない。オレのその言葉に対しオメガはボソリと「……面倒臭いな」と呟いた。


「今何か言ったか?」
「なんのことだ?」
「聞こえてたぞ」
「なら聞き返すなよ」


くだらないやりとりをすればオメガから小さく溜息をつくのが聞こえる。なんだ、そんな反応をしなくてもいいだろ。さて、どんなイタズラをしてやろうか。しかしオレがオメガから目を離してそんなことを考えている隙にいつの間にか目の前からオメガは姿を消していた。……食べ物の恨みは怖いというからな、このオレから逃げられると思うなよ?

Happy Helloween!

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