Happy Helloween | ナノ


パリッ

軽快な食感のお菓子の半分が私の口の中に収まった。ジンさんに突然投げ掛けられた台詞に思わずその残り半分のお菓子を差し渡す。そしたら「食いかけの菓子はいらん」だと。まあ、そりゃそうだよね。


「なんで今頃言うんです?これ最後のお菓子だったんですよ!?」


念のため袋の中身を確認してみるがやはり空っぽだった。素知らぬ顔で「知ってる」と言ったジンさんはいつから私を観察していたんだろう。というかお菓子がなくなるときを狙ってたとかほんとジンさん性格わる――


「おい、全部漏れてんぞ」
「やっだーなんのことですか?」


ジト目で見てくるジンさんに惚けつつ、唯一の助けの綱であるカイトを探すが見つからない。漸く見つけられたかと思えばカイトはすでに腹筋を始めていた。すでに手遅れだったか……。


「腹筋千回と思ってたけど悪口言ったからさらにプラス五百」
「ジンさん男前!よっ世界一!」


とんでもない単語がいくつか聞こえ、これはやばいとジンさんを持ち上げてみるが、咄嗟に出てきた言葉のせいであまりにも陳腐な内容である。だからなのか、それとも元から聞くつもりがないのか、ジンさんはそれに耳を傾けることさえしてくれず、すごくいい笑顔を向けてきた。


「ほぉら、食った分しっかり消化しようなー」


その笑顔で逃げ場を失った私は「はい……」と小さな返事をしてカイトと並んで腹筋をするのであった……。ちなみに体重は増えるどころか減ってました。まる。

Happy Helloween!

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