50000 | ナノ


俺はでっかい眉なしとちっこい黒いの、二人の野郎に追われている。どうせ追われるのなら可愛い女の子と綺麗なお姉さんの二人組がいいです。……それは置いといて、俺のことを知っていて訪ねてきたのなら除念の依頼なんだろうが、なんというか、二人があまりに顔怖すぎて逃げ出してしまった。いやまじで、めっちゃこえーの。たぶん本職は取り立てとかそこらに違いない。恐怖により働いた本能のせいで逃げ出したわけだが何を勘違いしたのか、二人は俺を捕まえようとしていた。違う、違うから。別に姿形が見えなくなるまで逃げるつもりなんじゃなくてさ、一定の距離を保ってくれれば逃げないからできればもっと離れてほしいんだって。そうだな、百メートルくらい。

と、軽い感じで説明させてもらったがあの二人組って俺を捕まえようとしているはずなのに殺さんとする勢いなんだわ。目が笑ってない。そもそも顔が笑ってねぇけど。あとずっと気になってたことがあって、あのちっこいの、最初は腕のリーチが足りないから傘振り回してるのかと思いきやよく見ると刀だったわけだよ。ねぇ、それってありなの?仕込み刀なんて反則じゃね?でっかいほうはでっかいほうで武器を持たない肉体派かと思いきや殴った地面抉れてたぞ。避けなかったら俺が抉れてたぞ。武器持ってないからって安心させやがって!

人間兵器のような二人に命辛々逃げ果せて(おおせて)いれたのは普段の行いと運の良さのおかげだろうが、それも今尽きてしまった。目の前には野郎二人で背後はコンクリートの壁、絶体絶命の危機……これがナマエの最期となるのか!?次回、ナマエ死す。……なんかもうよくわかんなくて変なことばっか口走りそうなんだけどまじでどうすればいいの?壁壊して逃げろってか?ざーんねんでしたー!俺ってば除念以外はてんで何もできないダメ野郎なんでーす!自分で言っててこれはつらい。死のう。


「やと捕まえたよ」
「手間取らせやがって」


うわーうわーやっぱこえーよこの人達。チビりそう。や、丁度さっきトイレしたからチビんねーけど!まぁそのせいで出待ちされて捕まったからプラマイゼロだけど!むしろマイナスのような気がするけど!……泣きたい。


「ご、ご用件はなんでしょう……」
「捕まった途端従順になったな」
「従順すぎて怪しいよこいつ。また隙をついて逃げる気ね」


逃げれるわけねーだろ!テメェらの顔が怖いから大人しくしてんだっつーの!俺のことをなんにも知らないくせに知ったような口振りしやがってと怒りたくなるがこの二人に怒れるほど俺は度胸のある男ではないので口角を引き吊らせながら無理矢理笑顔を繕った。愛想振り撒いて、相手の機嫌を損ねないようにして、好感度を少しでも上げて、俺が無害であることを証明しなければならない。痛いの嫌いだからね。穏便に済ませようとしている俺とは違い、二人は暴力で捩じ伏せてやろうみたいな悪どい顔でじりじりと俺との距離を縮めてる。そしてとうとう伸びてきてしまった手に肩を震わせて思わず目を瞑り、悟った。

――――あ、俺終わったわ。

問題が発生したため動作を停止しました

リクエスト内容:性別は男でプロの除念ゆえにフィンクスとフェイタンに追い回され絶体絶命!
結局この後は殴られるわけでもやられるわけでもなく両腕を二人に掴まれたままズルズルとG.Iに連れて行かれます。さながらそれは宇宙人のよう……と言いたいとこですがフェイタンが小さいので仲良く階段のように並んで歩いてる姿になっていたとか。

短い話になってしまいましたが水素不足様、リクエストありがとうございました!

[ back ]



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -