Optimist | ナノ

「…生き方を、教えてください」


必死に絞り出したであろう、そいつの声は、今にも消えてしまいそうだった。



06



「おい、ナマエ!ちんたらやってねぇで早く行くぞ」


数日前に見つけた女、ナマエは見たまんま役に立たなかった。あまりにも体力がなさすぎる。ナマエはこれが私のとこでは普通だったと言い張ってたが、どんだけ平和ボケしてきたんだと言いたくなった。


「いやいや、ラウさんの足が速いんです。というよりラウさんの足が長いんです」
「無駄口叩く暇があったらさっさと来い」
「ったぁ〜〜〜っ!」


近づいたナマエの脳天に拳を下ろすと、予想以上に痛かったのかその場に座り込んでしまった。ざまぁみろ。


「ラ、ラウさんのばーか!イケメンだからって何しても許されると思ったら大間違いなんでうぎゃあああほふぇんなふぁいいふぁいふぇすほふぇんなふぁい!!」
「残念だがなんて言ってんのかわかんねぇなあ…。ああ、そういえば誰がばかだって?おい、もっかい言ってみろ、この口でよぉ?」


思いっきり頬を抓る。正直なんて言ってんのか全然わからないが涙目で謝ってきているのが伝わったのでナマエの頬から手を離してやった。嫌味かわからないが、ナマエは俺に聞こえるように痛かったとぶつぶついいながら頬を擦っていた。
初めて見たとき、若いんだろうなとは思っていたが16だと答えたナマエに驚いた。本人に言えば文句を言ってくるかもしれないが、正直まだ13、14くらいの乳くせぇガキだと思ったからだ。髪色や目の色が特徴的だったが、これが黒だったりしたらそれこそもっと幼く見えたかもしれない。


「ところで、今日はどこに行くんですか?」
「さぁな」


つい先程のことをもう忘れたのかと言いたくなるような陽気な声で訊いてくるナマエに素っ気無く返事を返す。それに対して後ろで呻るナマエにめんどくせえ野郎だな、と溜息がこぼれた。
数日前まで大人しかったあの姿はどこへやら。初めて見たときのままでいられても扱いが面倒臭いのは確かだが今の性格も十分面倒臭い。中間くらいが一番いいんじゃないのか?


「お前を半分にしたらうるささも半分になったりしねえ?」
「いや、半分にしたら私確実に死にますって」


それもそれでいいかもしれないな。そう言ってふっと笑うとナマエは冗談じゃないと言って俺を睨んできた。

やっぱ前のほうが可愛げあるぞ、お前。


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テーマ「人外ファンタジー」
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