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「なんで俺がこんなことしなきゃなんねーんだ」



21



久しぶりに足を運んだ街は以前より少し人が多い気がした。というよりもガタイのいい暑苦しい野郎がちらほらと目につく。…こいつらも試験受けるのか?あいつ確実に落ちるんじゃないか?と、見るからにナマエの倍はある男たちに少し不安になる。

今日は街に行くついでにハンター試験の申し込みをしてきてほしいと頼まれた。お前もついてくればいいだろ、と言ったがどうしても行きたくないらしく、ナマエの住んでいたとこの“土下座”というものまでされてしまった。
二度あることは三度あるんだ、とわけのわからないことを一人ごちっていたナマエの姿を思い出す。


「一体何が二度もあったっつーんだ…」


たまにあいつが考えてることがわからなくなるがどうせまた馬鹿なことでも考えているんだろう。仕方なく申し込みを済ませようすると俺より小さい男が横に立った。20代前半くらいだろうか?いや、10代後半と言われても納得するかもしれない。それくらいその男は若く見える。


「…お前も受けるのか?」


ハンター試験を、と主語が抜け落ちてはいるが通じたのであろう、その男はこちらを見て少ししてから笑った。笑うとさらに幼さを感じてしまう。


「いんや、俺じゃなくて俺の弟子だよ」
「…弟子?お前まだ若いだろ?弟子なんかいるのか?」
「ああ、これでも俺は一応プロハンターだからな」


その台詞に正直、驚いた。こんな若い野郎がプロハンターだとは。
俺の考えていることが顔に出ていたのか、男は笑ったまま、お前信じてねーな!と言ってきた。そりゃ信じられないが、だからと言ってこんなことで見栄を張っても意味がない。それにこの若さで弟子がいるというのはさらに信じ難いものだった。

たしか今年17だと言っていたナマエも若いと思うがこいつの弟子はどれくらいなんだろうか。いや、こいつがただ単に童顔で年齢が実は俺と同い年とかだったら弟子が20くらいでもまだわかるのだが。


「…その弟子ってのは何歳なんだ?」
「ん?あー、何歳つってたかな、17くらいだったような…」
「…ナマエと同い年か」
「ん?」
「いや、実は俺がハンター試験受けるんじゃなくて俺の知り合いが受けるんだけど、そいつがお前の弟子と同い年なんだよ」


そういうと俺の気のせいかわからないが、男の顔が少し楽しそうになった気がする。弟子がナマエより上だったらナマエの面倒を見てもらえるかと思ったが相手も17歳。面倒を見てもらうという考えは諦めよう。


「へぇ、そいつも17か。そりゃいい競い相手にでもなってくれればいいな」
「…ハッ、競うもなにもあいつは女だ。お前の弟子の足元にも及ばねぇんじゃないか?」
「…女、か」


鼻で笑う俺に対して男は“女”ということを伝えると顎に手を添え考えるような仕草をする。面白そうだな、なんて小さな呟きは俺の耳に届くことはなかった。


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