Optimist | ナノ

精孔が開いて気づいたこと、念を甘く見てはいけない。それだけ。



16



「詰んだ…」


この世界にトリップして1年、精孔が開いて半年。半年のうちになんとか綺麗な纏ができるようにはなった。練をしたときは調子に乗りすぎたせいで一日中ダウンしてラウさんに迷惑を掛けたこともあったが。しかしそんなことよりも、私の最大の問題は絶である。絶ができないわけではない。私が思うに、気配を消すというのがあまりにも下手くそすぎるんだろう。順に覚えようと思って発を後回しにしていたが絶望的過ぎる結果に結局絶は最後にすることになった。
自分では絶が上手か下手かわからないが、流星街にいる犬や猫を捕まえようとしてもすぐ逃げられてしまう。犬猫に逃げられるなんてこんなの問題外に決まってる。


「野生児でも暗殺者でもないんだよ私は…!一般人なんだよ…!うぐうううう」
「なにやってんだ」


両手を頭に置き、いかにも悩んでますとばかりに蹲っていると頭上からウラさんの呆れたような声がした。実際に呆れてはいるんだろうけど。


「ラウさぁん…!」
「…っんだよ!」


抱き着き、という名のタックル。勢いよすぎたせいか抱き着いた瞬間、うっ、とラウさんの声が漏れたが気のせいだ私は何も聞こえてない。聞こえてないぞ。
ラウさんに抱き着いたとこで絶がうまくなるわけではないが、落ち込んでるときは甘えたいんだ!仕方ないだろう!


「限りなく空気になりたいです…」
「そうか、じゃあ死ねばいいんじゃないか?」
「うわあ…絶対零度…」


もっと熱くなれよおおおおお!と、までは言わない。言ったら絶対零度をさらんに下回る冷たい目で私を見てくるに決まってる。私は渋々ラウさんから離れ、修行するために外に出た。
あ、そういえば。あることを思い出し顔だけ覗かせる。


「ラウさん」
「ん?」
「来年、私ハンター試験受けます」


さらりと告げたときのラウさんの驚いた顔といったら、珍しすぎて写真にでも納めたかったくらいだ。


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