Optimist | ナノ

WT 師匠の名字を拝借

私は今仮想訓練室にいる。荒船くんも穂刈くんも半崎くんも加賀美ちゃんも、みんな学校で誰もいないのをいいことに彼らには見せていない念能力の確認をしたかったからだ。以前加賀美ちゃんにモールモッド以外のトリオン兵と戦う仮想訓練を教えてもらったので今は彼女がいなくても自分でできる。

まず私はトリオン兵では最もポピュラーらしいバムスターを出現させた。それから仮想訓練室に絶の状態で入り、バムスターの目の前まで歩く。ふむ、一切こちらには気づいていないようだ。それからバムスターの背後に回り“重力崩壊(リトルクラッシャー)”を発動させる。バムスターが私の気配に気づいたがもうすでに遅く、べしゃり、と音を立てて地面にめり込んだ。めり込んだバムスターに再び“重力崩壊(リトルクラッシャー)”を発動し、次は片手でバムスターを持ち上げると綿菓子のように軽くなっている。よし、これで絶は効果的だということと、念能力が自身以外にもしっかりと発動することがわかった。トリオン兵は人間じゃないので念能力が使えるというのは大きい。いや、トリオンがオーラの役目をしているのならトリオン体であるときのボーダーの人に念能力を発動しても問題はない気がするが、さすがにそれを試すのは躊躇われる。万が一何かあったときが怖い。

ピコン、と気が抜けるような明るい音が鳴った。音の出所であるポケットを探るとラインが一件届いていた。

≪今日よかったら個人ランク戦やってみませんか?あと、そのあとお好み焼き食べに行きましょう。≫

送り主は荒船くんで、荒船隊の誰かだろうとは思ったがやっぱりそうだった。ちなみに半崎くんに関してはだるいと言われて最初の≪よろしくお願いします。≫以外一切送られてきたことはない。ハンター世界での携帯はもちろん使えないのでボーダーから連絡用に支給された携帯を使用している。私は≪了解です。どっちも楽しみにしてるね!≫とだけ返事をした。


「学校何時までって言ってたかな」


時計を確認すると針は12時半を差していた。つまり今は昼休みというわけか。荒船隊のみんなが帰ってくるのは早くても17時頃になるはずなのでまだまだ時間がある。ていうか色々と試していたから昼過ぎになっていたことに気づかなかった。トリオン体ってあんまりお腹も空かないから、うっかりすると体調を崩してしまいそうだ。仮想訓練をやめてトリガーをオフする。トリオン体のときとあまり感覚が変わらないので最初は本当にこれで生身に戻ってるのか?と何度も確認してしまった。


「昼食ですか」
「ん?」


食堂について何を食べようかと悩んでいると突然背後から声を掛けられた。振り向くと背の小さい――といっても自分と同じくらいかそれより少し高い――黒髪の男の子が立っている。えー誰だっけ、この子。見た覚えはあるが、それがどこだったかいまいち思い出せない。たしか最初司令さんのとこで尋問を受けていたときにもトリオン体でいた気がしなくもないような……。


「えー、っと」
「ボーダー本部所属、風間蒼也です」
「あ、同じくボーダー本部所属、ナマエ=フリークスです。 荒船隊でお世話になってます」


風間くんっていうのか。いや、風間さん、なのかな。ていうかこの子何歳なんだろう。今ここにいるってことは防衛任務があるから学校休んだか、または大学生以上ということになる。大学生……には見えないんだけど人を見かけで判断するものじゃないしなぁ。あ、決して今私の脳内に10代にしておっさんと間違われるレオリオが浮かんだわけではないよ!ははは!
特に接点がないのでこれ以上の会話は望めない気がするが、ボーダーで知っているのは荒船隊と白髪の子――遊真くん、最近荒船くんに紹介してもらった村上くんくらいしか知り合いがいない。ここで風間くんと仲良くなって少しでも知り合いを増やすべきかもしれない。そういえばさっき昼食かと訊かれたことに返事をしていなかったので、それついでに会話を続けた。


「風間くんも昼食?」
「はい。 丁度いい時間に休憩入れたので」
「そっか、お疲れさま」
「いえ、ありがとうございます」


…………はい、会話終了です。泣いていいかな。


prev / next

[ back ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -