Optimist | ナノ

WT この世界の技術すごい

「荒船くんこれってどういう仕掛け?」
「ああ、それはですね」


あのあと白髪の少年が現れて私の言うことがすべて事実であると証明してくれた。その彼の一言で周りの人も信じたのだからあれは彼の能力に違いない。なんだろう、嘘発見器みたいな感じなのかな。そして生身での戦闘能力の高さを買ってもらい私も近界民との戦いに手を貸すことになった。だが彼らの説明ではトリオンが少ないとトリオン体になったところで戦えないらしい。え、異世界の住民である私にそんなものあるの?と思ったのは言うまでもない。


「これ初見でやられたら引っ掛かりそうだね」
「たしかにそうですけど、そもそもうまくこれができるやつはあんまりいないっすね」


モールモッドはトリオン体でしか倒せないから生身では無理なんだとそういう意味で司令さんは言ったらしく、つまり破壊できたのは私がトリオン体になっていたからとしか説明ができないんだとか。そこまで言われて私はピンときた。つまりオーラ≒トリオンということだ。たしかに荒船くんに初めて会ったとき彼のオーラは洗練されているように感じた。それは彼がトリオン体だったからだ。


「こういうのも魅力的だけど、荒船くんが私の先生になってくれるなら攻撃手(アタッカー)か狙撃手(スナイパー)かなぁ」
「ナマエさんがほかにやりたいのあるなら適正のやつに俺から頼みますよ」
「いや、それはいいや。 ていうか荒船隊に世話してもらってるんだからやっぱ狙撃手かな。 郷に入っては郷に従えってね」
「世話してもらってるって……」


荒船くんは困ったように笑って「それじゃあ厳しくいかないとですね」と言葉を続けた。

トリオン体にならずにどうやって戦ったのか、それを見せるために訓練室に入れられ戦うことになった。念に関しては私たちの世界の能力でこれをこの世界の人たちがやろうとしても無理だし、無理をすれば死ぬ可能性が高いとだけ答えた。嘘は言ってない。それくらい精孔を開くのは危険なんだから。本来はトリガーというものでトリオン体になるんだと説明を受けたが今はとりあえず生身で戦ってくれと言われ、訓練室には私とあのとき戦ったモールモッドだけになっていた。生身の人間に結構な無茶させるね?と思ったが危険だと感じたらすぐにこちらで処理すると声が掛かる。なるほど、どこかに身を隠してるのか。好奇心で円を広げれば、たしかに隠れてる人がいた。全然目に見えないってのはすごい……これが科学の力か。

それからは簡単で、あのときのように堅をして、面倒くさいので足を折るなんてことはしないでそのまま脳天に思いっきり踵落としをすればあっという間にモールモッドは沈んでしまった。もちろん足には流でオーラを集中させていた。このあとどうすればいいんだろう。やることがないので脳天真っ二つになったモールモッドを観察しているとほどなくして「足にトリオンを集中させたのか……だがその前にどうやってトリオン量を急激に増やした?」と放送がかかる。トリオン量が増えた?戦闘を始める前にやったことといえばひとつしかない。もしかして堅のことだろうかともう一度堅をして「これのことですかね」と問えばそれだと返事をされた。これの説明は難しいというか、これも念能力に関することだからなんとも……。結局まともな説明ができずに簡潔にこれも能力の一部だと答えたがその答えに満足はしていないらしく、定期的に科学班のところで健康診断という名の実験を手伝ってくれと言われた。うわぁ、本音が駄々漏れ!

今後の処遇はとりあえず近界民ではないしトリオンも申し分ないのでボーダーに入って協力しろということになった。そしてどこで面倒をみるのかという話の最中で浮上したのが第一発見者である荒船隊だったのだ。面倒をみるって私は捨て犬か何かかな。自分たちが拾ってきたんだから自分たちで面倒みなさい!って。な、納得いかない……。


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