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WT 防衛任務にて

一瞬視界が暗転して、そのすぐあとに見たのは白い…………なにこれ。それからすぐ、どこかわからないが殺気が飛んできた気がした。気がしたが、今はその人物を探す暇はないらしい。目の前にいるわさわさと動く白いよくわからない生物――ハンター世界では見たことがない、動物というより機械に近いかもしれない――が私に向かってきていた。なんか虫っぽく見えるけど、虫、ではない、よね!!


「わぁ、っと。 危ないなぁ」


白い生物の攻撃を上に飛んで避ければ、攻撃を受けた地面が鈍い音を立てて割れた。うわ、あれ当たってたら割と痛かったんじゃ?ていうか地面をあれだけ強く殴っといてひびさえできてないってどれだけ硬いの。受けずに避けといてよかった。そんなことを考えながら着地するまでの間に円を展開するとどうやらこの付近には3人、私とこの白いののほかに武器を持った人間がいるらしい。ふむ、敵なのか、そうじゃないのか。その3人が味方であることを願おう。今は確実に敵だと認識できる目の前の白い生物を倒せばいいわけなのでとりあえず敵に向き合うことにした。


「人間じゃないなら、壊してもいいよね」


堅をして向かってくる敵の攻撃を再び飛んで避けようとすると、学習能力は一応あるらしく、追いかけるように私のほうへと伸びてくる。すぐに流で足にオーラを集めその足に向かって思い切り振り落した。


「結構もろいんだね」


敵の足が根元からもげて、10本だった足が8本になる。しかし痛みを感じていないのか、敵は気にした様子もなくめげずに私へと飛びかかってきた。それに対応しようと構えたが、ふいに嫌な予感がして後ろへ飛ぶと、敵に向かって3発、威力の高い弾丸のようなものが撃ち込まれた。……あれってオーラの塊だよね、てことは念能力者?3人が絶で消える前に急いで円に集中すると場所を特定されないようにか、3人は一斉に移動を開始した。オーラの感じからやっぱり念能力者か。襲ってきた敵はあの3発ですでにお陀仏となってしまったため、私は一番近くにいた人物の元へ絶で近づいた。つば付きの帽子にファスナーをきっちりと首元まで上げ、上からマントのような何かを羽織っている彼は、どこかでみたことのあるようなないような、そんな人物。年齢は高校生くらいだろうか。若くして才能に溢れた人物はこの目でたくさん見てきたが(というか周りにたくさんいるが)、こんな人物は見た覚えがないし、オーラがきれいに身体を纏っていて、これほど洗練されたオーラを持っていながら有名ではないということはもしかするとハンターではないのかもしれない。そしてどうやら私の絶を見破れないとなるとそこまで強くのかという疑問も浮上する。


「おい、女が消えたぞ」
『人型近界民だったんじゃないんですか?』
「それなら見失ったら尚更だめだろうが」


ひとがたねいばー?通信機か何かで会話をしているらしく、聞き取りにくいながらもなんとか聞こえたその言葉に首を傾げた。いやでも、なんか悪そうな人には見えないんだよなぁ、この少年。うーん。声を掛けて、やばそうなら再び絶を使って逃げるのもありか。背後に立つのは少年の心臓に悪いかと思い、少しだけ距離を取る。それから絶を解いて――怖いので念のため堅はしておく――声を掛けた。


「私に何かようかな?」


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