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火事場の馬鹿力とはよく言ったものだ、なんてあの時の私に感心した。



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なんで体がこんなに軽く感じるのか、なんて考えなくてもわかるものだった。私はあのとき…イルミに殺されそうになったとき、精孔が開いたのだ。身の危険を感じて本能的に出ていたわけではなく、あのとき飛んできたイルミの針が原因だろう。あとになって頬を掠めたのがイルミの針だということがわかったわけだが、針がオーラを纏っていたのか、顔に薄っすら傷が残ってしまっていた。乙女の顔に傷が!なんて思ったが、おかげでイルミはこのままオーラを出し切って死ぬと勘違いしてくれたわけだし、結果オーライだ。
正直、纏をうまくできる自信はなかったが、火事場の馬鹿力といったものか。いや、ちょっと使い方が間違ってる気がする。まあ、いいや。


「予定とはちょっと違ったけど、念を使えるようになったんだよなあ」


ふふ、と不意に笑みがこぼれてしまう。元の世界では使えなかった力が、今使えるというのは思っていたよりも嬉しいものだった。今日から念の四大行の修行をしよう。一年半、念の修行をしてそれからハンター試験に臨めばいい。


「トンパ…はいるよな、きっと」


原作の287期で35回目って言ってた気がするから再来年が278期となると…トンパは26回目…十分ベテランっすわ、トンパさん…。
トンパはともかく、原作9年前だとしてもハンター試験で作中の人物に会う可能性がないわけではない。現に、この世界に来て半年しか経っていないにも関わらず2人の人物に会ってるからだ。幸いなことにクロロには顔を見られていないし、イルミには死んだと思われている。しかし、関わっていることには間違いない。そう考えると嫌でも偶然に作中の人物に会う可能性があると言える。

私がここに存在する時点で、この世界はHUNTER×HUNTERであって、そうでない。だからこの世界の流れが変わろうと、私には関係ない。そういう風に考えを変えてみると少し気持ちが楽になった。


「さあって!念修行頑張るぞ!」


心なしかこれからが楽しみでわくわくしている気がした。


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