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寝ていただけの二日間が勿体無い気もしたが、ラウさんの嬉しい情報を手にいれれたのは大きな収穫だったかもしれない。



14



あれから私は二日間ほど寝ていたらしい。おかげで起きたときはお腹がすいて仕方なかった。起きて早々お腹すきましたなんて言ったらラウさんに叩かれたけど、気分がいいので許してやらんこともない!


「で、体調のほうはもう大丈夫か?」
「はい!もうバッチリ!」


満面の笑みで返事を返すと、そうか、と言って何かを包んでいる黒い袋を渡された。ん?これを私にどうしろと?笑顔のまま首を傾げる。


「それ、寄り合いのとこ持ってけ」


それだけ伝えるとラウさんはまたどこかに行ってしまった。
ゴミ山の中から比較的使えそうなものを見つけて、それを寄り合いに持って行くとお金に換えてくれたりする。きっと私が寝ている間に集めていたんだろう。そうだとしても、ここから寄り合いまでは微妙に遠い。それを考えると少し気分が下がるが二日間寝ていた身分なので仕方ない。私はそれを抱えて寄り合いのほうへ足を向けた。


*


「あれ、ナマエちゃん!もう元気になったのかい?」
「お陰様で〜!て、なんで具合悪かったの知ってるんですか!」


寄り合いに着いたのと同時に、カルロさんが私に気づいた。カルロさんはラウさんの若い頃まで知っているらしく流星街の住民に慕われている存在で、私たちの住んでいるとこの地区長みたいなものだ。広い流星街ではそういったまとめる人が点々といるらしい。


「ラウさんが心配してたからね」


はい?今なんて?
カルロさんの言葉に耳を疑う。あのラウさんが人にそう思われるくらい私の心配をしてくれていたということなのだろうか。起きた瞬間病人だった私を叩くようなあの人が。
カルロさんと比べたら私とラウさんの付き合いは長いとは言えない。というかまだ世話になって1年も満たない。だけど毎日一緒に暮らしているのでそれなりにラウさんのことはわかっているつもりでいた。たしかに優しい面もあるかもしれないが、あの人は誰かに弱み、という言い方はおかしいかもしれないが、それに似たようなものを見せるような人ではないと。


「あのラウさんが?それ、本当ですか?」
「ああ、本当だよ。この間街に連れていってもらったんだろう?具合が悪くなってから全然目を覚まさない、ってラウさんが言っててね。心配だ、とは言ってなかったけどあれはたしかに心配してた顔だと思うよ」
「あああ、あのラウさんが…私の心配を…!」


これがニヤけずにいられるだろうか、いやニヤけずにはいられない。
うわーうわー嬉しいなあ、なんて口にするとカルロさんはにこにこ微笑みながら起きたらとことん使ってやるとも言ってたよ、なんて教えてくれたので一気に現実へと連れ戻された。


「あ、そういえばこれ、ラウさんが持って行けって」


黒い袋をカルロさんに渡す。その中を確認したカルロさんは私にお金を渡してくれた。お礼を言って私はその場を後にする。今日は本当に気分がいいな、と思わずスキップ。

…あれ、なんか体が軽い、かも?


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