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カイトが念能力者だったからというのは間違いではないらしい。が、それは誰にでも簡単にわかることであり、あまりにも安直な考えだったらしい。



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ジンさんは笑うくせに簡単には答えを教えてくれない。仕方なしにもう一度考えてみるがやはり浮かばず、もうお手上げだと言わんばかりに両手を広げて顔の横に上げた。


「しょうがねぇなあ。それじゃ、ヒントをやるよ」
「え、答えは教えてくれないんですか」
「答えをそのまま求めるなんて甘えすぎだっつーの」


シッシッと犬か猫を追い払うような仕草をしたジンさんは、思い出したかのように小さく「あ、」と声を漏らし、その手でカイトを指差した。


「カイト、これはお前も考えろ」
「え」
「この答えはカイトも発を作る際に必要になってくるからお前も考える必要がある。で、ナマエ。お前の念ばっかバレるのは平等じゃないってことで、カイトの系統は具現化系だ。これがヒント」


質問は受け付けない。それだけ言うとジンさんは黙ってしまった。カイトが具現化系ってのがヒントだなんてあまりにも大雑把すぎてジンさんが何を言いたいのかわからない。というか平等じゃないと言っといて自分の系統は一切言わないのだからこの人本当にずるい。ここでジンさんの系統は教えてくれないのかと言っても答えに関係ないと一蹴りで終わらせられるだろう。

この答えがわからない限り多分次には進めないだろうから真面目に考えなくてはと考えてみるが、具現化と特質では接点がうまく見つけられない。しかも私の念能力は具現化というより操作寄りだ。結びつけようとすればするほど頭の中がごちゃごちゃと散らかっていった。


「……もう一つ、ヒントをやる。ナマエの念は特質系で操作寄りだ。それを具現化系とくっつけようとするだけ時間の無駄。具現化系についてまず考えろ。それからナマエの念について考える、わかったな」


なるほどわからん。
そのヒントから察するに私が…多分カイトも、“重力崩壊(リトルクラッシャー)”と具現化系をどうにかして結びつけようとしていたのがジンさんにはバレバレだったらしい。そんなことを察するよりも早く答えを見つけ出せという話だけど。

具現化系はオーラを物質化させ、その物質化させたモノに能力を付加させることができる。さらにオーラで具現化したモノなので隠で隠すこともでき、逆に大っぴらに見せといて操作系だと勘違いさせることも可能。と、ここまで考えて言えるのはとても残念なことに私の能力は物質化できるモノじゃないしすでに透明なので具現化系特有のそれは関係ないということだ。そうなると発を作る過程に着眼点を置くしかないのかと考えたところで隣にいたカイトがぼそりと何か呟いた。考えに集中していたせいで何を言ったのかわからなかったが私と違いジンさんは耳敏くそれを拾った。


「そこに至った考えを言ってみろ」
「あー、っと、具現化する上で必要なのはイメージ力で、作りたい発が決まってもすぐに具現化せずまずそれを詳しく知ったほうがいいってのをジンさんが前言ったじゃないですか」
「言ったな。それで?」
「…で、ナマエがさっき『もっと重力をかけたつもりだった』っていう言い方が曖昧というか、感覚的なものに感じたので、もしかしてその重さに対するイメージが足りていない、実際の重さをしっかりと把握していないってのが問題なのかと」


不安と確信が半分半分。そんな顔で答えたカイトのそれは、しっくりと私の中にはまっていた。重力を扱うというのにその本元である重力を理解していない。原作でクラピカが実際の鎖で何かをやっていたような気がする。詳しく覚えていないのは私の記憶が掠れてきているということだろう。


「……まぁ、正解ってことでいいかな」
「!てことは」
「そう“イメージ力”が足りてない。これに関しては具現化系ってことでカイトにしっかり言ってからカイトのほうが先に気付くとは思ってた俺の予想通りだな」


……イメージ力は割りとあるほうなんだけどなぁ。違う意味で。


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