Optimist | ナノ

これだけ鍛えて身体が壊れないどころかちゃんと筋肉になってきてるんだから自分の身体すごいなって自画自賛しても許されると思う。



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「……組み手、ですか?」
「そ、俺とな」


内容を変更したと言っていたから何をするのかと思いきや、今まで同様の筋トレ内容ではなくジンさんとの組み手になったらしい。私はてっきり筋トレの量が倍になるんだと予想していたからなんとも拍子抜けである。拍子抜け、と表現したがジンさんとの組み手に期待はしていなかった。あの容赦ない量の筋トレをまるで普通のことのようにやらせるのだから期待なんて今更だ。苦い顔の私に対してジンさんは爽やかな笑顔だが、その笑顔の裏に何かが隠されている気がして安心できない。


「……念は」
「もちろん無しだ」
「………使った場合は?」
「いつもの倍のペナルティ」
「えっ」
「を、三十分以内」


三十分以内にできなかったら何があるのか、聞ける勇気は私になかった。


*


「反応が遅ぇうえに脇が甘い」
「っぐ、う」
「振りも大きい」


隙があればそこを狙ってくるジンさんの拳を受け止めようとするがそれより先に拳が届き思わず吐きそうになるが最初のほうですでに昼食を吐き出してしまった私はもう吐くものが胃液しか残っていなかった。そんな私とは違いジンさんは私が蹴ったり殴ったり、思い切りぶつかって反撃をしても受け止めるどころか軽く払うだけで汗一つかかずに余裕の表情だ。

今更組み手は嫌だと言えるわけがないし言っても意味がないことではあるが格闘経験のない私が、はいそうですかと簡単にやれるようなものじゃない。『ナマエのやりやすいようにすればいい』とジンさんは言ってくれたがやりやすいも何も、隙だらけだと呆れられてしまった。だったら構えから教えてくれと頼んだのに基礎からしっかりと教えるのはどうも苦手だから感覚で覚えろと突き放して始めたところはすごくジンさんらしい。


「お前の念能力がどんなもんか詳しくは知らないが、念に限らず常に武器になるものを持ち歩いているわけじゃなければ基本素手で戦うことになってくんだからしっかりやんねえいけないだろ」
「…はぁっ、じゃあもし、私の念能力が…っすごく攻撃向きだった…ぐっ…としたら?」
「それでも万が一の可能性はあるし、念を封じられたりしたときに困らないようにするために今やってんだよ」


御尤もでございます。
まぁ私の念能力は全然攻撃向きじゃないから今の質問は無意味なわけだがそうじゃなくても結果的にこの組み手はやらされるってことだ。


「無駄口叩く暇あったらしっかり反撃してこい!」


そういって蹴りを入れてきたジンさんの攻撃をかろうじて、やっと、受け止めることができたというのに受け止めた腕が痺れて少しの間使い物にならなかったのでやっぱりジンさんは恐ろしい。


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