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念能力を知らないラウさんに話せる範囲でハンター試験の出来事を伝えると“運が良かった”“運で合格した”という結論結果がラウさんの中で出来上がってしまったらしい。…私の努力は?



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留置場を出た(半ば追い出された)私はこのあとどうするべきか悩んだ。
今回のラウさんの事件は、流星街自爆テロの事件に違いない。ということは、このままだと身近な人が、もしかするとカルロさんが、復讐のために自爆してしまうかもしれなかった。薄情な話かもしれないけど正直知り合いがそんなことになってなかったらこの事件は気にならなかったに違いない。

しかし、残念なことに私はそこまで事件を把握してないのだ。というより、この事件は多くの人が死ぬということしか覚えてなかった。何年後に起こるのかもわからない。なるべく早く私が犯人を見つけて、警察に差し出せばあの事件が起きないかもしれないのに。

ラウさんは犯人が変な能力を使ったと言っていたが、十中八九、念能力者のことだと思っていいだろう。相手の能力がどんなものかわからないが今まで人を殺しているのだから、それらしい能力の可能性は高かった。今の私だと殺しを手慣れている相手に簡単に殺されてしまう。仮に相手が念能力者じゃなくても勝てるかどうかわからないのは、ハンター試験で嫌でも経験した。

私は戦い方を覚えて、体を鍛える必要があった。だけど、どうやって?今まで通りやっていても何も伸びないことは自分でもわかっていた。結局は全て自己流だったわけだし、戦いに関しては素人の素人。学ぶものは何もなかった。


「…頼るしか、ないのかな」


この事件を早く解決しなくてはいけないのはよくわかっているのに、悲しいかな、私にはそれができる力がなかった。だからこそ、時間をもらって鍛えることを選んだ。流星街のみんなが怪しい行動をしようとするなら頑張って説得しようと心に決める。だって、みんなが死んでしまったら、誰よりも悲しむのはラウさんなんだ。

シャルが買ってくれた真新しい携帯を手に取り、まだ慣れてない操作に四苦八苦しながらボタンを押していく。やっとのことで最後のボタンを押すと、携帯を耳に当てた。

――トゥルルル、トゥルルル

何度かコール音が鳴ったが電話先の人物が出る気配はなかった。時間帯が悪かっただろうか、まだ日が沈んでいない明るい空を見上げた。また後で掛け直そうと耳から携帯を離そうとしたところで、プツリとコール音が止まる。ん?確認のためにしっかりと耳を傾けた。


「……誰だ?」


電話先の人物――聞こえてきた声の主は、別れてから数える程度しか経っていないカイトだった。


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