ハマキヨバージョン
【射的とりんごあめ】
皆と別れたあと、石浜は清川の姿をじっとみた。
白い生地に数種類の色の紫陽花の花。帯は濃い紫で浴衣に合っていた。
髪は上でおだんごにし、シュシュでまとめてある。
すごく似合う。石浜はそう思った。
「なんだよ、ハマー。そんなに見て」
「いや、すごく似合うなって思ってさ」
石浜の言葉に清川は真っ赤になる。
「あ、ありがとう」
可愛いな。そう思いながら石浜は清川に微笑む。
「いえいえ。本当のことを言ったまでだから」
赤かった顔がさらに赤くなる。
うー、ハマがたらしみたいなことをいう。石浜の言葉に、一杯いっぱいだ。
カシャ。音が聞こえたほうを向いたら携帯を構えた石浜がいる。
「ちょ、なに撮ってんだよ!」
清川が詰め寄ると、いやキヨがあまりにも可愛いから。なんてしれっとした顔で言い携帯をしまる。
あ、写メ消してもらい損ねた。そう思ったときにはもう遅く、石浜が満面の笑みを浮かべながら手を差し伸べていた。
「さ、行こう」
うん。と返事をして石浜の手をとる。
歩いていると、射的を見つけた。
小さい頃はよくやってたな。と思い出している清川の目にあるものが止まった。
小さいクマの人形だ。どことなく石浜に似ている。
清川の暑い目線に気付いた石浜は、何?キヨあのクマ欲しいの?と話しかける。
「うん。欲しいけど、とれなさそう」
その言葉に石浜はじゃあ俺に任せて!と意気込んだ。
「え?!ハマあれとれるの?」
「多分いけると思う。射的得意だし」
そういうと、お金を払い狙いを定める。
弾は三つだ。一発目は外れた。二発目は当たったが!落ちるまでには行かなかった。
最後の三発目。パンッという音とともにクマの人形が落っこちた。
「やった!ハマすごいな!!」
「ありがとう、キヨ」
店の人から渡されたクマの人形を清川に渡す。
清川はそれをギュッと抱きしめた。
「ありがとうハマ!大事にするね」
そういい、微笑んだ。
またぶらぶらと歩きだす。
「何かしたいものとかある?」
その問いに清川はりんごあめが食べたい、と答えた。
「よし!りんごあめだな」
辺りを見渡すとちょうどりんごあめを売っている店がある。
「ちょっとここで待ってて」
「あ…、うん」
清川を一人残して行く。
少したつと、石浜が戻ってきた。
「はい、これ」
「ありがとう!何円だった?」
その問いにニコリと笑って答える。
「別にいいよ。そのぐらい」
「でも!」
「いいから」
少し悩んだあと、じゃあもらうね。ありがとう、ハマ。そう言って清川は微笑んだ。
りんごあめを食べながら、また歩きだす。
もちろん手は繋いだままだった。
END.