三本で『告白』 | ナノ

今日は練習も試合もない、完全なオフの日。
この間、生活に必要な物も買い揃えたから、今日は僕の好きなクラシックでも聞いて家でのんびりするのもいいかもしれない。
そうだ。明日も休みだったからワインでも飲もう。
そう決めて、どの曲がいいか選ぼうとしたときに来客を知らせる音が鳴る。
僕の大事な休日に誰が来たのだろうか。確認する。

ザッキーだ。
僕はちょっと待っててと声を掛けて、オートロックを外す。

「いいよ。ザッキー、上がっておいで」

ザッキーの返事が聞こえて、画面が切れた。
彼は何の用で来たのだろうか。
まぁ、本人に聞けばわかるか。と思い、ザッキーが来るのを待つ。

インターホンがなる。ザッキーが着いたのだ。
玄関に行き鍵を開ける。
彼は相変わらずの仏頂面でそこに立っていた。

「やぁ、ザッキー。入りなよ」

「ウス。お邪魔します」

ザッキーを連れてリビングを向かう。
座るように進めたが、別にいいしらい。
僕はお気に入りの椅子に座る。
この間、一目惚れして買ったのだ。

「それで、どうしたの?」

彼は僕の言葉には答えないで、目の前に膝立ちになった。
さっきから、左手は自分の背中にある。

「王子…」

何処か緊張しているような声だ。

「何?」

「これ、あげます」

そう言って、彼が背中から取り出したのはバラの花だった。
三本だけだが、綺麗にラッピングされている。

「これを…僕に?」

「はい。三本のバラの花言葉は『告白』。受け取ってくれますか?」

あぁ、なんていうことだろう。
僕が君を思っているのと同じように、君も僕のことを思ってくれていたなんて。
愛しくて、愛しくて堪らないよ。
照れているように俯いている彼から、バラの花をそっと受け取る。

「もちろんだよ。僕からも三本のバラを送ったほうがいいのかい?」

僕の言葉に彼は顔をバッと上げた。
その顔は驚いているようだったが、同時に嬉しそうでもあった。
その後の彼の微笑みを僕は忘れられないだろう。

「別にいいっすよ。その言葉が聞けただけで」

そう言って、彼は僕を苦しい程に抱きしめた。
これからは彼と僕で過ごして行くのだ。
そう思うと嬉しくて、僕も背中に手を伸ばしギュッと抱きしめた。


バラの花を三本送ろう。
花言葉は『告白』。


END.


1000hitを踏まれたそくら様に捧げます^^
シチュエーションはお任せとのことでしたので、ツイッターで見たバラの花言葉を使ってみました。
そくら様のみ持ち帰り可です。煮るなり焼くなりしてください。
返品も出来ますので、納得出来ませんでしたら書き直させていただきます^^
1000hitありがとうございました。
これからも『記憶の彼方』をよろしくお願いいたします^^

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