指を指されて臆病と言われても | ナノ

堀田君が好きだ。

咎めるような声も、俺を見るまなざしも。
顔も、手も、足も。
みんな、みんな好きだ。
何をしている時だって堀田君のことを考えてしまう。
練習や試合のとき、食事しているとき、テレビを見ているとき、女とセックスをしているときも。
堀田君がここにいたらとか、堀田君が相手だったらとかそんなことばかり考えているんだ。

でも、この思いは伝えられない。
今でさえギリギリ押さえ込んでいる状態だというのに、伝えてしまったら、きっと制御出来なくなる。
泣かせて、ぐちゃぐちゃにして、俺のことしか考えられないようにして、俺しか堀田君のことを見れないようにしたくなる。
ハハッ、狂ってるな。
これが俺の本能なんだ。
チームメイトにも言えやしない。
でも、意外と人のことを見ているタンさんは知っているのかもしれない。
今だって何か話しかけたそうにこっちのことを見てくる。

「なに?タンさん。そんなに俺のことを見て」

「お前さ…、堀田のことが好き……なん、だよな?」

ほら、知っていた。
でも俺がこんな狂ってるようなことを考えているとは知らないだろう。
当てられたことえの戸惑いを出さないように答える。

「そうだけど、どうしたの?」

俺たち二人以外、誰もいないロッカールームに声が響く。

「何で告白とかしないんだ?」

「出来るわけ無いじゃん。俺たち男同士だよ?嫌われて終わり」

「…でも!!」

「もし、伝えて受け入れてもらえたとしても俺が堀田君を壊してしまう…」

小さな、本当に小さな声で言ったのにタンさんには聞こえていたようだ。

「どういうこと?」

タンさんの疑問には答えず、荷物を持ちロッカールームを後にする。
後ろからは俺を呼ぶ声が聞こえるが、もう答えられることはない。

「堀田も、ガミのことが好きなんだよ?」

呟くように発せられたその声を俺が聞くことはなかった。

堀田君が好きだ。

咎めるような声も、俺を見るまなざしも。
顔も、手も、足も。
みんな、みんな好きだ。

だから堀田君が堀田君であるために俺は今日もこの想いを伝えず胸の内に留めておくのだ。


指を指されて臆病と言われても

END.


ガミさんがヤンデレにorz
ガミ→(←)ホタです。
堀田君は登場しませんでした。すみません。

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