思い、重い | ナノ

はじめて王子に会ったときは、なんだこの人って思った。


<思い、重い>


だってそうだろ?
自分に酔ってるし、俺の名字きちんと呼ばないし。
それでも。
残って練習していた日、そろそろ帰ろうかと思い戻るとそこには王子がいた。
いつもとは違う雰囲気で。
何処か近寄りがたかったため、中に入ることは出来ずに壁に寄り掛かり、王子が出ていくのを待った。
しばらくはそこにいたが不意に立ち上がったかと思ったらさっさと帰って行った。
そこからだ。
王子が気になりだしたのは。
練習、休憩、試合のときだって視界には王子がいた。
王子を見ているうちにわかってきたことがある。

サッカーが好き。
椅子が好き。
傍若無人に振る舞っているけれど、思いやりもある。

見えないところで練習している。

惹かれていくのに時間はかからなかった。
男が好きなんて認めなくなかったけれど、王子をみるたびに高鳴る鼓動は止められなくて。
こうなったら開き直ろうと思い、よく絡むようになった。
あの人はすぐ名前を忘れるから。
だから記憶に残ろうと必死になった。
そんなある日の今日。

王子に告白された。

そりゃあ、舞い上がるだろう。
他人に興味の無い、プライドの高い王子に告白されたんだ。
すぐに返事は出せなかった。

考えてしまったんだ。
王子が俺に飽きて離れて行くとき、手放せるんだろうか。
答えは否。
もし、離れようとしたら俺は何をするのかわからない。
今でさえ王子が好きすぎて堪らないのだ。
そんなことになったら俺以外の誰にも見られないように監禁してしまうかもしれない。
それが怖いのだ。
俺が俺じゃなくなる気がして。

だから。

「…本気なんすか?」

「本気だよ」

「女の子は…」

「もう誰とも付き合っていない。言っただろ?君のことが好きなんだって」

俺が黙っていると、王子は顔をしかめて辛そうに言った。

「…君のことしか考えられなくてどうしようもないんだ。男同士とか考えたよ。君の将来を潰してしまうかもしれないと思ったし」

でも、と王子は続ける。

「もうどうしようもないんだよ。これ以上は隠しきれなくなったんだ」

「……俺重いっすよ。王子が離れて行こうとしたら何するかわからないし。それでもいいんですか?」

「もちろんだよ。僕から離れるつもりはないしね」

こうして俺らは付き合うことになった。
その時の王子は、泣きそうなそれでいて嬉しそうな顔をしていた。


END.



家族パロを書きたいといいながら、ザキジノをあげます。
タイトルに悩みました。
ネーミングセンス無いんで。
書きたい内容がありすぎて忘れて行くくらいには困っています←

パロにザキジノも入れたいんですけど、書ききれるか心配です。
あー、どうしよう。

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -