会いたい | ナノ
世良と堺は同棲していて、世良はプロの女子サッカーで活躍している設定。
よければどうぞ。




堺さんと会えていない。
今日で確か5日目だ。
堺さんはETUの合宿に行っている。
行きたかったが、練習もあるし。それに女の俺が行っても邪魔になるだけだ。

「あと二日…」

そう、あと二日もしたら帰ってくる。
それまでもうちょいの我慢だ。
堺さんが頑張っているんだから、俺も頑張らなくっちゃ。







――――――
ダメだ。
今日の練習でおもいっきりミスしてしまった。
思うようにやれない。
簡単なゴールでさえ決められない。

堺さんが足りない。

堺さんに会いたい。
ギュッてして欲しい。
名前を呼んで欲しい。
キスして欲しい。

電話掛けちゃダメかな?
携帯を手に取り、堺さんの番号を呼び出す。
でも、練習まだ終わってなかったら…。
迷惑だよな。

電話を掛けるのをやめようとしたとき、携帯が鳴った。
咄嗟に出る。

「…もしもし?」

『元気にしてるか?』

堺さんだ。
堺さんの声だ。

「うすっ。元気…ですよ」

『世良?どうした?』

あぁ、ダメだ。
迷惑かけちゃ行けないってわかってるのに。

「堺さん、…会いたいです。堺さんが…足りない。」

本当に止めなきゃ。
迷惑だ。
わかっているのに、止まらない。
止められないんだ。

「…会って声聞いて、ギュッってしてもらって、頭撫でて、キスして欲しい」

『世良…』

「すいません、迷惑ですよね。あと二日我慢しますから…」

『世良!』

「さ…かい、さん?」

『会いたいのはお前だけだと思うなよ。今から行く、待ってろ』

「でも…」

『コンビニに行くって言えば平気だろ』

「…はい!待ってます!」

『おう、じゃあな』

電話が切れる。
嬉しさを抑えることが出来ない。
堺さんも俺に会いたいと思ってくれてたんだ。
なんだか悩んでいたのが馬鹿みたいに思えてくる。

早く、早く会いに来て!


END.

(あれ?堺ー、車の鍵もってどこ行くの?)

(ちょっとコンビニ)

(ふーん)

(違うよ丹さん。わざわざコンビニまで車で行くわけないじゃん、近いのに。きっと我慢出来なくなって世良に会いに行くんだよ)

(あー、なるほど。珍しく練習に集中出来てなかったもんね)

(うるせぇ!)
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