涙 | ナノ

ストレスが溜まると何故か泣きたくなる。
今がそれや。
サッカーでの失敗やらなんやらでもう無理や。
泣きそう。
早く、早く家に帰りたい。
アパートに着いて、階段を登る。
急いで鍵を開けて中に入り、靴を脱いでリビングに向かう。

そこには何故か畑がおった。


<涙>


「お前、どうやって入ったんや」

「何言ってんねん。この間お前が鍵くれたんやろが」

「…せやった」

畑が来るたびインターホンを押されて、わざわざ開けに行くのが面倒くさかったから、勝手に入って来いや、って言うて合鍵渡したんやった。

「…で?なにしに来たん?」

「いや、特に用は無いねんけどな。でもなんかお前が泣きそうな気がして、じってしていられなかったんや」

「……なんやそれ」

「すまん。意味わからんよな」

少し照れたように頬をポリポリとかく畑。

「むっちゃ泣きたい時に限ってなんでお前がおんのやろな」

あかん。反則やで。

「何?俺ビンゴやったん?」

「そやで。全くもってどんぴしゃや」

「なら…」

そう言って腕をバッと広げて、ニヤリと笑いながら畑は言った。

「ほれ。来いや。俺の胸貸してやるから、おもいっきり泣けや」

もう我慢出来なくなって、畑の胸に飛び付き、顔を埋めて泣いた。

「おー、よしよし。何があったかは知らんけど、もう大丈夫やで。泣けるだけ泣き」

頭をぽんぽんとされ、もっと泣けてきよった。






「ほんま、反則や」

「なにがやねん」

「むかつく。格好良すぎや」

「なんや、嬉しいこと言ってくれるやん」

ほんまむかつく。
むかつくから服で鼻かんでやろ。

「ちょ!何やってんねん!」

「何って鼻かんでいるんやけど」

「なんで人の服でかむん?!」

「やって何かむかつくやん」

「知らん!」

「ふん。お前が格好つけんのがいかんのや」

「言い掛かりやで、それ!」

おもいっきり泣いたらスッキリして、畑といつものようなやり取りも出来る。
もう元どうりや!
お気に入りの服が、なんて嘆いている畑に向かって言葉を放つ。

「いつまでグダグダ言っとんねん。それでも男か!」

「男や!お前がやったんやろが!!」

「へえーへぇ。すいませんね」

「心が篭ってへんぞ」

「うっさいわ。…まぁ、ありがとな」

「…おう。また泣きたなったら言えや。俺の胸貸してやる」

借りてみるのもいいかもしれへん。

また泣きたくなったときは貸してもらおう。
きっとその時も一緒にいるんやろうから。


END.

Thenks:雲の空耳と独り言+α

途中まで書いたの一回消てしまって、落ち込んだ。
最後グダグダにorz

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -