不思議な人 | ナノ

「ねぇ、堀田君」

「何ですか?ガミさん」

「いや。なんでもないや」


不思議な人


ガミさんは不思議な人だ。
何を考えているのか基本わからない。
何も考えていないのかと思ったら、意外にもきちんと考えていて、他の人もきちんと見てる。
かと思いきや、今度は何も考えていなかったり。なんてざらにある。
だからきっと、今も特に理由は無いだろうな。
だって、この人がきちんと考えているのってサッカーの時ぐらいだから。

「堀田君ー」

「だから何ですか?」

「……健二君」

「!?な…な…」

「あはは!健二君、顔真っ赤だよ?」

「…名前」

「名前?あぁ、うん。呼びたいなと思ったから」

本当に唐突すぎる。
名前で呼んでいいか普通は聞…くのか聞かないのかはわからないけど。
今まで名字で呼ばれていたのに、急に名前で呼ばれたらビックリするだろう。
恋人に呼ばれたら真っ赤になってもしょうがない。
……顔が熱い。

「本当に唐突すぎですよ」

「ダメだった?」

「ダメじゃないけど…」

「ならいいじゃん。健二君も呼んでよ」

俺の名前。
そういって、ガミさんは俺のことをじっと見てくる。
そんなに見られると呼びにくいな…。

「……達雄さん」

その瞬間、ガミさん、もとい達雄さんの顔が赤くなった。

「達雄さんも真っ赤じゃないですか」

「反則だよー」

「何がですか」

「もー、健二君俺の名前呼ぶの禁止」

両手で顔を隠しながら、達雄さんは言った。
でも、と何かを思い付いたように顔を上げた。
まだ真っ赤だったけれど、何処か楽しそうに笑っていて。

「これから二人の時だけは名前で呼ぶようにしようよ」

うん。それがいい。なんて、一人で納得して、俺の意志は関係無しに決まったようだ。
まぁ、別に構わないが。
真っ赤な達雄さんを見るのも楽しいし。

やっぱり達雄さんは不思議な人だ。


END.
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