憧れの | ナノ

俺が中学生のころ、親父と一緒にあるサッカーチームの試合を見に行ったんだ。
親父がサッカーの熱狂的なファンだったこともあって、試合を見に行くのなんてしょっちゅうだった。
そのチームは1−2で負けていた。
そんな時だ。
選手の交代を告げられたのは。


憧れの


FWだ。俺と同じ。
何回かそのチームの試合を見に来てはいたけど、交代して入って来た人は全く見たことがない人だった。
不思議になって、親父に聞いた。
今入ってきた人誰?って。
そしたら笑いながら教えてくれた。

「今年大学卒業して、入ってきた奴だよ。恭平も見る目があるな。今回が初出場だけど、いい活躍をしてくれそうって、目付けてたんだよ」

親父の話しを聞きながら、試合を見てた。
その時だった。試合が動いたのは。
交代で入ってきた彼が、ゴール前でボールをもらい、そこからクロスにシュート。
ボールは引き寄せられるようにキーパーの手にも触れずにゴールに入る。
すごい!ガードされてたのに、あんなに綺麗に決まるなんて!!
決めた。
俺もあんなFWになる!



「それが世良さんがサッカー選手になろうと思ったきっかけですか?」

「まあな!」

「それで?その試合はどうなったんだよ」

「勝ちましたよ。その人がもう一点を追加して」

「へぇ。なぁ、その人は今……」

「おい、世良!早くしねえと置いて行くぞ」

「あ!待ってくださいよ、堺さん!すいません。俺はこれで」

「あっ!世良!!」

キヨさんが呼んでいた気がするけど、堺さんに置いて行かれないように急いで後を追う。

憧れのあの人の背を。
俺が目指すFWの背中を。


END.



世良は堺の試合を見て選手になりたいと思った。って小説を書きたかった。
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