「いちゃつきたいです。」

急に何を言い出すんだ、コイツは。
俺は呆気にとられていたものの、目の前のメイド服を着込んだ美少女…じゃなかった、美少年に問い掛ける事にした。

「え…と、何で?」

「夜空のあねごがいわれました。しんのおとこたるもの、つねにあにきのようなやんきーとしてふるまわねばならない、と。」

「それとイチャつく事が何か関係あるのか?」

「小鷹、それについては私が説明してやろう。」

ここで口を挟んできたのは、事の発端である、夜空のよく通る綺麗な声であった。俺は怪訝そうに夜空を見据えると、夜空は俺とメイド服の美少年…幸村を一瞥するなり説明を開始した。

「真の男には勇ましさの中に尊敬する者と少し距離を詰めておかねばなるまい。そう、つまり…媚びを売らねばならないという事だ。」

「……お前なぁ。幸村には何て説明したんだよ?」

「いちゃつく事が小鷹の喜びだと言った。」

「ちょッ…!な、何だよそれ!俺がそんな事で喜ぶ訳が……」

「あにき、なにか問題でも?」

そう言って首を傾げる幸村は何て言うかその…めちゃくちゃ可愛かった。可憐な乙女、という言葉に相応しい。…って落ち着け俺!幸村は見た目はあれだが、男…そう、男なんだ!

「…って待てよ。イチャつくって普通、恋人同士がやるもんじゃないのか?それって舎弟とか友達とか超越して――」

「しつれいします」

「んむっ……!?」

……何が起こったのか理解するのに時間が掛かった。疑問の声を上げる前に口を塞がれてしまった。
唇に触れた柔らかい感触に一瞬戸惑ったが、見開かれた俺の瞳に映ったのは幼さが残った中性的な綺麗な顔。俺が我に帰る頃には唇に伝わる熱は離れていった。今だ唇に残る感触…こ、これは…俺が正しければこれは…!

「接吻だな。」

「な、な………!」

さらっと言ってのける夜空に、俺は徐々に己の体温が上昇していくのがわかった。間違いなく、今の俺は顔が真っ赤だろう。ぱくぱくと金魚のように口を開口させながら必死に抗議をしようとしている俺に、追い撃ちをかけるように幸村が俺の頬に手を添えて小首を傾げた。

「あにき、まんぞくしましたか?」

このやや不安げな表情に、んな訳ねぇだろバカか…なんて言える訳も無く、俺は首を縦に振って頷いておいた。すると幸村はふんわりと柔らかな笑みを浮かべ、再び顔を近付けてきたではないか。

「ま、待て幸村!俺達はそもそも男で…!」

「しんのおとこたるもの、たとえ同性であろうと確固たる意志をもってたちむかうべし…夜空のあねごはそういわれました。」

「夜空、でたらめばっかり言いやがっ…んん!」

再び柔らかな感触が唇に触れた。先程の優しく触れるようなものとは違い、今度は噛み付くような口付け。俺は何とか離そうと試み、幸村の肩を押したのだがそれを何と受けとったのかは知らないが皿にキスを深くしてきた。…嘘だろ?

他人から見れば、美少女に圧される情けない不良だろうが、実際そんなラブコメ的展開ではなく、腐女子万々歳な女装男子と一見不良男子の卑猥な絡み合いだ。……自分で考えていてかなり虚しい。

「あにき……」

やがて唇が離れていけば、俺は呼吸を整えながら紅潮した顔をどうにかしようと、額に腕を当てた。何て言うか、頭がぼんやりして…これが青春というやつなのだろうか……。

「……何、やってんの?」

「…せ…星奈…!?」

そこにタイミング悪く訪れたのは、金髪壁眼美少女こと、星奈だった。どうやらこの如何にも同性愛者の行為をバッチリ目にしてしまったようだ。穴があるなら入りたい。

「いつかやるとは思ってたけど…キモい、キモすぎっ!」

「ま、待て星奈!これは誤解だ!どう見たって俺が……」

「近寄らないでよ!」



「…あにき…かわいかった…。」

幸村が頬を赤く染めながら何か呟いたような気がしたが、俺には聞き取れなかった。
その後、俺は悪魔のように微笑む夜空と星奈に必死に弁解していました。


end


――――――――

初!はがない小説…!
とにかく小鷹と幸村にキスをさせたかったという願望から、無理矢理やらせちゃいましたっていうね←

幸鷹はいいCP(^q^)ハァハア

11/05/15



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