とある一室。
中央には存在感のある大きな机。その部屋の隅には小さな丸椅子がいくつか重ねられていた。

ただそれだけしか無い部屋。レイアウトは至ってシンプルで、ごちゃごちゃしてなくて小綺麗だが、はっきり言って殺風景。まだ物を置けるスペースは存在している為、一見小さめの部屋だが広く錯覚する。

そんな中に響き渡るはカリカリという音。聞いてみると、お菓子か何か頬張っている、と思うかもしれないが、それは全く以って違う。
数人の男女が例の巨大机(といっても大体十人座れるかどうかくらいの長い机だが)に、積み重ねられていたのと同じ丸椅子に腰掛けて、教科書や参考書を見ながらノートに何か書いていた。

言わずもがな、自主勉強というやつである。
それを見守っているのは、同じく椅子に腰掛ける男女数人。数で言えば、明らかに教科書やらを開く男女の数の方が多い。

ちなみに、この俺…佐藤七四(さとう ななし)は見守る組の方である。


「う〜…こんな変な漢字習ってないアル!全くわからないヨ!」


ふと、勉強に取り組んでいた一人の少女が頭を抱えながら声を上げた。色素の薄いクリーム色の髪をシニヨンで二つのお団子にしており、その口調、外見からしてチャイナそのものの少女。

そんな少女が漢字に手こずっているというのだから、奇妙というか…不思議で堪らない。


「…それ、中学の時に習ってる漢字だぞ。」

「うあー!もうこんなんやってられっか!何ヨ!漢字なんて所詮線と線が交わってぐちゃぐちゃしてるだけアル!こんな、誰が考えたかもわからないモン、覚えられないネ!」


俺が指摘してやると、少女はとうとう奇声を上げ、変な理屈を述べながら机に突っ伏してしまった。確かにそうは思うが、過去にこの国に伝来してきてしまったものは今更何を言ってもどうしようもないし、何より漢字は現在この世の中で一般的に使われてる。言わば必需…大切なものだと思うって事だ。

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