深い眠りから覚めたのは、身体の気だるさからだっった。重い身体、少し痛みの感じる身体を起こし、静寂に包まれている暗い部屋を見つめる。夜明けまではまだ時間がある。こんな中途半端な時間に起きたって何もすることがないのに。もう一度疲れた身体をベットに沈めた。少し揺れたベッドに、くぐもった声が聞こえてくる。どうやら、起こしてしまったらしい。
「……ロマ、起きてるん?」
「悪い、起こしたか?」
「別にええねん。今、何時?」
「…4時」
「うわ、まだ寝れるで。ロマ、もう一度寝えへん?」
「いいけど」
いつもなら6時くらいまでお互いに寝ているんだから、あと2時間だろうと、それは自分たちにとって貴重な睡眠時間。しかしロマーノの目はすっかり覚めてしまっていた。寝転んでいれば、眠れるだろうか。
「ロマーノ寝ないん?」
「寝れないんだよ」
「親分が眠れるおまじないしたろっか?」
「はぁ?」
元気の出るおまじないとか何とかは頼んでもいないのにやってくるから嫌という程知っている。だが、眠れるおまじないなんて初耳だ。すると、スペインは突然ロマーノに抱きついてきた。行為の後、それはお互いの衣服を身につけていないという状態。直接触れ合った肌を伝わって頬が熱くなる。
「おいスペイン、何してっ」
「こうすると落ち着かん?温かくなってきて、気付いたら寝とるでー」
その言葉に安心したのか呆れたのか。もう一度目が覚めたとき、日はすでに昇り、鳥のさえずりが心地よかった。おまじないが利いたようだ。
/真夜中にのまれる