世間一般から見れば、僕たちってどんな存在なのかな。ねぇスタンはどう思う?気持ち悪い?キモい?でも仕方ないじゃんって思うのも悪いことなのかな。人が誰を好きになろうと関係ないとか言うけど、そんなもの全部嘘っぱちだよね。僕がスタンを好きで、スタンも僕が好き。それがもう親友としてじゃないってことは昔からお互いに分かっていたのにね。だから今更こんなにも考え込む必要なんてないのに。なのに今どうしてこんなにも悲しいんだろう。泣きたくなるんだろう。うれしいのに、うれしくない。しあわせと感じるのに、幸せじゃない。お互い好きなのに、もしかしたら一度距離を置けばその答えが見えてくるのかもしれない。
提案したそれを、スタンは悲しそうな表情で、悲しそうな目で僕を見ていた。
「分かってくれる?」
「………」
「スタン?ねぇ、聞いてるよね?」
「……うん」
スタンに問いかけてみれば、無言とちょっと遅れた返事が返ってきた。スタンは、頷いてくれた。よかった、僕は安心したよ。スタンにまで否定されたくないからね。じゃあ僕行くからね、と残した一言を遮ると、僕の腕を力強く引っ張った。それによって体のバランスが崩れ、いつの間にかスタンの腕の中に僕はいる。
「あのさ、カイル」
「うん」
「わかるけど、俺さ、離れるのとか嫌だよ」
……何だよ、それ。本当は何も分かってくれてないじゃないか。これが最善の方法だって、僕は思った。だったら、やっぱりそうなんじゃないかな?
答えてよ、スタン。
/さよならの音が夜に侵される