テキスト | ナノ

横に寝ているグリーンにキスをしてみた。もちろん、唇に。だけど何の反応もなく、すよすよと気持ちよさそうに眠る姿に変化は見えない。もう一度、キスをしてみた。今度は唇じゃなくて、頬に。だけどやっぱり、何の反応も浮かばれない。グリーンは昔から鈍感なところがあったけど、どうやらそれも筋金入りらしい。別に寝ているグリーンを起こそうとは思わないけど、どんなことをすれば起きるのかに、興味が湧いた。もう一度だけ、今度こそという思いでキスをした。今度は唇でも頬でもなく、瞼に。試しに唇で少し舐めてみたけど、何の味もしなかった。当たり前だ、グリーンは食べ物じゃない。だけど、何だろうこの感覚。それ以上舐めようとは思わなかったけど、これ以上何かやると僕自身が罪悪感で潰れてしまいそうだったからグリーンの横で身体を沈めた。僕もこのまま寝てしまおうか。勝手にキスしたことも、瞼を舐めたことも、何もかも秘密にして。僕だけの、グリーンの秘密にして。



/まぶた



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