テキスト | ナノ

今日、レッドに会った。いつもと変わらずに何を考えてるのか予想もつかない無表情な色を浮かべて、いつもと変わらない口調で言った。ただ短く「ただいま、グリーン」と。それに同じく短く「おかえり」と返し、その日は俺の部屋で時間を適当に過ごして帰って行った。毎回何しに帰ってくるのかと思えば「グリーンを充電しに来たんだよ」とかバカげてるだろ。真っ昼間から恥ずかしいことさらりと言うやつなんだから精神的になんか疲れる。あのときのレッドは何故かいつにも増して楽しそうで嬉しそうだった。どうしたんだよ、と声をかけてみると珍しく笑った顔が返ってきた。「グリーンにおかえりって言われて、なんか嬉しい」……ほんと恥ずかしいやつだ。これじゃあ俺がもたない。意図的に無視しても、やっぱりレッドは笑っていた。気持ち悪いやつ。
レッドが帰った今、今日はジムは休みだしすることが思い浮かばない。寝ようと思ってベッドに潜り込んでみたが、眠たくないから意味がない。ベッドの上で何気なく呟いてみた。「おかえり」と。そうか、俺はいつもこの言葉を言う側なのか。同じように、レッドは「ただいま」と言う側。……一体レッドはどんな気持ちなんだろうか。確かめたいとか、レッドにそれを言いたい言われたいとは思わない。ただ何となく、会いたくなってしまった。数時間前別れたばかりだというのに、情けない。それだけ俺もレッドのこと好きってことか。何だよ、俺も十分恥ずかしいやつじゃん。



/その鼓動におかえりを言ってあげる



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