脈動

わざと血液の循環を探るようにして抱えた。

手首とか米噛みだとか素人の僕にでも見付け易い血管の数々は、触れて確認してみたけれど残念ながら全て正常に機能している。

首筋の動脈に噛み付いたら噴水の様に飛沫をあげるだろうか。
可哀想だけど、今は触れるだけで許してください。

指と云う指が脈を感じ取る。指の腹が擽ったくて熱い。
生きている。この人はどうしようもなく生きている。

先生、あなたは生きています。

「お気の毒に」

だけどこの脈は一生止めてあげない。