昼休

包帯からにじみ出た血がセーラー服に染みてしまった。クリーニングに出したら落ちるだろうか。
取り敢えず気休めに水飲み場で濯いでみた。薄くはなったけど滲んで広がったように見える。おまけにスカートまで濡らしてしまった。
隣で手を洗っていた子が私を見て大声をあげた。
「わあ!どうしたの?びしょびしょじゃない」
「染みになったから、洗ってた」
血が滲んでしまった箇所を指さして示すと彼女はまた間抜けな歓声をあげた。
持っていた如何にも少女趣味で恥ずかしいハンカチを私に差し出して、首をあっちにこっちに移動させて私を見てくる。
「あ、私染み抜き持ってるの!ほら何かスティックみたいなやつあるじゃない?確か鞄の中に」
「いいよ別に」
「えー善くないよ!落ちなくなっちゃう。ね、ほら」
一方的に喋って私の話なんか全然聞いていない。普通とは言い乍らこの子も意外と強引だ。
包帯を巻いていない方の腕を掴んでぐいぐい引っ張られて足が縺れる。
「ねえ、もう少しゆっくり歩こう」
私はあなたと違うから、そんなにしっかり生きられない。