三人よれば

「カナちゃん、嘘だよね、そこの睫毛ともあのムッツリ野郎とも付き合ってないよね。あくまでも体だけの関係だよね、心までは許してないんだよね」

「ということは、やっぱり貴様の仕業か」


やっぱり、ということは翔太が犯人だと思ってたというのか。
確かにこいつならやりかねないが。


「仕業?もしかしてタライのことを言ってるんですか?それなら僕じゃないですよ、第一、僕が戻ってきたのはつい今ですからね」

「お前、本当かよ」

「それに、僕なら水に毒混ぜてカナちゃんがいないところでぶっ掛けるよ」


ああ、確かに。と納得しそうになる自分が悲しい。



「本当ふざけるなよ犯人の野郎、僕のカナちゃんにまねで水を掛けやがってカナちゃんがびしょ濡れになるし…びしょ濡れ…びしょ濡れカナちゃん……うっ」

「おい!本当にお前の仕業じゃないんだよな!」

「僕は違うよ、断言もするよ。証拠ならほら、さっき店に来る前で近くのコンビニで買った包丁のレシート」

「さらっとなんつーものを!あまりの物騒さに店長も青褪めてるじゃねーかよ!」

「……わ、わかった、貴様が無関係なのは分かった。…しかし、こうなったらまた分からなくなってしまうな」


そうだ、そこが問題だ。
再び考え込む俺と店長に翔太は「あの」と口を開く。


「店長さん、タライの被害にあったのは時川君と四川君だよね」 

「ああ、そうだが」

「僕の盗聴器と隠しカメラからして四川君の糞野郎がタライを被ったのはカナちゃんにちょっかい出しやがったその後で、その間無害そうな顔して有害以外の何者でもない時川君が僕のカナちゃんを汚しやがっているところにタライ犯はタライを落としたみたいだね。どうせやるならもっと先にしろよ役立たずのゴミ」

「なるほど…いつの間に勝手に店にカメラを取り付けたのかは置いておいてそれは重要な手掛かりになるな…」


なんかところどころ問題発言がぽろりどころかぼろぼろ飛び出している気がなくもないが、ちょっと待てよ。とすればだ。


「ってことは、もしかして俺のせいか?」

「ご名答だねカナちゃん」


「共通点はカナちゃんにちょっかい出したやつがやられてるってことだよ」と、翔太はにっこり笑った。
その不気味な笑顔を一生忘れることはないだろう。



mokuji
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