チャイナ娘♂の災難E

「てめぇ………人がしてやってんのにごちゃごちゃうるせえな!誰のためにやってやってんだと思ってんだよッ!」

「えっ………………俺のため?」

「……………………」


え、何その間。


「……ックソ、もう知るか!勝手に引っ掛かってろ!」


よほどムカついたらしい。
ブチ切れた四川は言うなり手錠を取り出し、俺の手首にそれをハメた。

…………ん?手錠?



「ちょっ、おい、なんだよこれ!」

「うるせえ、喋るな」


そんな横暴な。
手錠をどこから取り出したとかもしかして持ち歩いてるのかとか色々突っ込みたいことはあったが、躊躇いもなく片方の輪を棚の枠組みにハメる四川に全て吹っ飛んだ。


「なっ、なにやってんだよ!馬鹿!そんなところに繋げたら動けねえだろ!」

「動けねえようにしてんだよ」


だから、なんで。
そう問い掛けるよりも先に、自分に向けられた四の視線に気付く。
そして、今度こそ自由に動けなくなったという順調に悪化している状況にもだ。


「…………お、お前、まさか変なこと考えてないだろうな…」

「変なこと?なんだよ」

「えっ」

「このまま放置してどっか行くとかか?」


当たり前のように、さらりと口にする四川に、逆にこちらの方が戸惑う。
放置、確かにそれも嫌だけど、正直てっきりその、ほら、そういうあれなのかと思っていた俺はすっかりと毒されている自分の思考回路に気付き、恥ずかしさのあまりなんだかもう舌を噛み切りたくなる。


「ぁ…いや……その…」


目を合わせることも辛くて、つい視線が泳いだ。
なにか言おうとするけど言葉が突っ掛かってしまい、うわ、やばい。まじで俺が変態みたいじゃねーか。
いやだって四川のことだから、てっきりそういうつもりかのかと…うわぁもうやだ死にたい。

顔を見られたくなくて、咄嗟に後ずされば背後の脚立にぶつかる。
躓きそうになって、伸びてきた四川の腕に腰を支えられた。


「それとも、俺があんたをここで犯すとでも思ったのか?」


抱き抱えられた拍子に顔が近付く。
そう、笑う四川に真正面から見詰められ、今度こそ言葉に詰まった。


「期待してんじゃねえよ、ド淫乱」

mokuji
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