笹山vs四川×原田で脱衣格ゲーB



「おお…!」


一時はどうなることかとハラハラしていたが、どうやらそれは無用な心配だったようだ。
四川の体力ゲージを削り、お互いに同じくらいの残り体力にまで盛り返す笹山。


「っくそ、本気かよ…」


隣、コントローラー片手に舌打ちする四川。
へへーんざまーみろーてめえがズルするからそんなことになんだよこの野郎と視線で罵倒しまくっていた時だった。
じろりと横目で睨まれる。
瞬間、背筋に寒気が走る。
おかしい、声には出してないはずだが。
なんて狼狽えつつも、俺の隣には笹山がいるのだ。安易に手を出すことは出来ないはずだ。とソファーの背もたれに背中を埋め、ふんぞり返った時。

そんなことお構いなしに下腹部に伸びてきた四川の手に腿を掴まれる。



「っ、あ、やめ…っ」


膝上から付け根まで乱暴に弄られたときだ。


「阿奈ッ」


俺の声に驚いたように立ち上がる笹山の手からコントローラーが離れた瞬間、俺は「あっ」と声を上げた。
瞬間、先ほどよりも悲痛な女キャラの悲鳴とともに画面の笹山の体力ゲージは一気になくなる。
四川のキャラの上にWinの文字が現れた瞬間、やつは「うっし!」とガッツポーズした。


「おい!ずりーだろ!」

「は?何が?」

「今、また触っただろ?!」


青褪める笹山が見てられなくて、慌てて立ち上がった俺は四川に食い掛かる。
なのに、なんということか。
悪びれるどころか全く動じないやつはまるで俺が何を言ってるのかわからないといった目で見下ろしてくる。


「証拠は?」

「…え?」

「おい笹山、てめえ見たのかよ俺が触ったところ」

「…………」

「さ、笹山が見れるわけないだろ!ゲームしてたんだから!」


慌てて笹山をフォローしようとする俺だったが、すぐに自分の墓穴に気付いた。
そうなのだ、笹山は見ていない。ということは、証拠はないと認めたようなものだ。
そのまま何も言えなくなる俺を見て、やつはにやりと嫌な笑みを浮かべた。


「ほらな?ただこいつがクソ敏感自惚れ野郎ってだけだろ。人を痴漢みてえに言うなっての」

「うぐぐぐ」

「すみません、原田さん…俺が悪いんです」

「えっ、いや、そんなわけないだろ!あいつが悪いんだよ!」


なんで笹山が凹まなければならないんだ。
それが余計悔しくて、慌てて笹山を慰めようとした矢先。


「うっせ、ゴタゴタ言う暇あったらさっさと脱げよ」


背後から思いっきり服を捲り上げられ口から心臓飛び出しそうになる。
慌てて裾を掴んだお陰で脱がされることはなかったが、このまま回避することは出来そうにない。


「まずは一枚だ」


この野郎ちょっと勝ったからっていい気になりやがって。


「これくらい余裕だろ?今のはマグレなんだからなぁ?」


そうだ、マグレなのだ。
こいつに命令されるのは癪だが、ゲームのルールだ。俺がルールを守らなければ、四川が負けた時に奢らせるという罰ゲームが成立しない。


「…っ」


笹山のためだ、とベルトを緩めた俺はそのままズボンを脱いだ。


「って、そっち?!」

「ほら、脱いだぞ!これで文句はねえだろ!」

「ふーん、まぁそれもそれで俺は構わないけどな」

「は、原田さん…」


呆れ果てる笹山の目が痛いが、俺だって苦渋の判断なのだ。クーラー効いてるこの部屋で上脱いだらちょっと寒いのだから仕方ない。


「笹山、まだあと4回あんだからな!俺のことは気にせずボッコボコにしてやれ!」

「……分かりました」

「気にするななんておっそろしいやつだな。…同情するわ、笹山」


にやにや笑う四川に、笹山は「黙れよ」とだけ吐き捨てコントローラーを再び取る。
心なしか先ほどに比べ笹山の機嫌が悪くなっているのがわかったが、無理もない。
その怒りを四川にぶつけてくれるのを祈るばかりだ。



mokuji
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