笹山vs四川×原田で脱衣格ゲーA

ルールは簡単だ。
5回勝負で先に三勝した方が勝ちというなんとも分かり易いルールだ。

四川が選んだキャラは見るからに強そうなマッチョ(というか最早筋肉の塊)で、笹山が選んだのは露出度は低いもののなんとも俺には刺激の強い女キャラだった。


「まーたそれかよ、むっつり野郎」

「いいんだよ、こいつリーチが長いから。それよりも強そうってだけで選んでる阿奈に言われたくないけど」

「言ってろ」


正直目のやり場に困るが、そんなことを気にしているのは俺だけのようだ。
どこまでも噛み合わない二人のやり取りは試合が始まるまで続いた。

そして、勝負開始して数分。


「よっしゃー!やれやれー!」

「応援ありがとうございます」

「チッ…」


流石とも言うべきか、順調に四川の体力を減らす笹山。
どことなく面白くなさそうな四川。
このままならば笹山が勝つはずだ。

そう、安堵した矢先だった。
ソファーに距離を置いて座る二人の背後、背もたれから観戦していると、いきなり伸びてきた手にケツを思いっきり掴まれた。


「ひぁっ!」

「原田さんっ?!」


しかし、それも一瞬。
ビックリした俺に、つられてコントローラーから手を離した笹山に「あ」っと思った時だ。


「おっしゃ!決まった!」


四川の嬉しそうな声とともに女キャラの悲鳴が響く。
ガードもせずろくに大技を食らった笹山のゲージは大きく減少した。


「な…ッ」

「お、おい、ズルいだろ今の!」

「は?ズルくねえよ、ちょっとぶつかっただけだろうが」

「こ、こいつ…っ」


四川が正々堂々というキャラではないと分かっていたが、まさかここまでとは。
確かにケツを掴まれ、その手の感触がまだくっきり残っているというのに。


「原田さん、そいつに何言っても無駄ですよ」


諦めたようにコントローラーを手に取る笹山。
別にケツを触られたことはまあいいとして、その結果笹山に迷惑掛けてしまったことが歯痒くて堪らない。
「笹山」と項垂れた時、笹山は横目で四川を睨む。


「後で覚えてろよ、阿奈」

「ふん、知らねーよバーカ」


こ、この野郎。
相変わらずな四川に殴り掛かりそうになれば、笹山に「原田さん」と名前を呼ばれる。


「危ないんでこっち来といて下さい」

「えっ、で、でも」

「いいから」


そう笹山が指定したのはソファーの上、笹山の隣だった。そうなると必然的に四川との距離も近くなるのだが、どうやら俺に拒否権はないようだ。


「うっす…」


笹山の目が怖いので、俺は大人しく笹山の隣に座ることにした。



mokuji
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