四川×原田で蒸し風呂マッサージネタ後編 【前回のあらすじ】 「礼、礼って、こんなこと…されて…俺が…ぁ…喜ぶとでも……んんぅッ!」 「喜んでんじゃねえかよ」 耳たぶを甘噛みされ、息が漏れる。 下半身に伸びた手にケツの穴を穿られ、腰が揺れた。 「ん、な、ぁ…っわけ…ぇ…ッ」 ねえよと言い返したいのに、口を開けば息が漏れて反響する自分の声に余計居た堪れなくて。 逃げたいのに上がろうとしても四肢に力が入らず、それどころかがっしり固定された下腹部は余計四川と密着するばかりで。 「ぅっ、ん、やっ、やめ…ろ…ぉお……ッ」 「遠慮すんなよ、人がやってやるっつってんだからさ」 お前がやりたいだけだろ、と口を開いた矢先。 ぐっと捩じ込まれた二本の指に息を飲む。 ソープを絡めたそれはじゅぷじゅぷと濡れた音を立てながら中へと入り込んできて。 「っは、ぁっ、うそ、馬鹿、抜けっ、抜け抜け抜けってばぁ!」 「おい、そんなに動いたら手が滑べんだろ」 と、四川が口を開いた矢先だった。 ゴツゴツとした指が一気に根本まで入ってくる。 腹の奥、その衝撃に一瞬目の前が白ばんで。 「ぁ、やッ、だめ、だめ……ッ!」 ねちねちと中を指で弄られ、腹の中がぐちゃぐちゃにかき回されるようなそんな感覚に逆上せた脳味噌はなにも考えられなくなる。 痛みはない、染みもしない、その代わり挿入がスムーズになるというソープは本来ならば良い品なのだろうが今の俺にとっては余計なものでしかなくて。 「ぁっ、あぁ、や…ぁあ…っ」 執拗に内壁を指で擦られ、自分の意思とはもう関係なしに腰が揺れる。 出したばかりの性器は既に持ち上がりはじめていて、自分の中で響くねちねちとした粘着質なその水音に全身が、熱くなった。 「やだ、しせ、んッ、も、やだ…やだってば…っ」 「はあ?ケツ振ってるやつが何言ってんだよ」 「振ってなんか、なッ、ぁ…ぁああ…ッ!」 瞬間、捩じ込まれた指がぐっと曲げられ、抉るようなその刺激に全身の筋肉が硬直した。 「ぁっ、あっ、やッ、あぁッ!」 強弱つけて中を引っかかれればビクビクと下半身が小刻みに痙攣し、やばい。張り詰めた性器が腹に当たって、そんな自分が惨めになるとかそんな余裕すらなくて。 止めどなくやってくる快感の波に目の前はチカチカと点灯する。 なにかが競り上がってくるようなその感覚に息が、呼吸が乱れ、口を閉じることすらままならず、開きっぱなしになった口からは唾液と声が止めどなく溢れてくる。 「あっ、ぁあ、っやっ、もッ、無理、むりぃっ!」 「へぇ、そーかよ、そんなに美味いか?俺の指は…よぉっ!」 「――ッ!!」 瞬間、頭から爪先に掛けて電流のようななにかが走り抜ける。 目の前が真っ白になった時、腹に溜まりに溜まっていたなにかが勢い良く放出されるのがわかった。 「ひ、いぁっ、ぁああ…ッ!」 どぷっどぷっと断続的に吐き出される精液。 直接触られてもいないのに、既にどろどろに汚れたそこから止めどなく溢れ出てくる精液に情けなさで目の前が滲んでいく。 「ぅ、うう〜……ッ」 引き抜かれる指。 背後の四川の顔を見るのも嫌で、見られるのも嫌で、顔を隠すように俯いた矢先。 ごりっと嫌な感触がケツに押し付けられる。 「ぅっ、や、も、やだ……っ」 「んだよ、気持ちよくしてやってんだろうが」 「だって、おれ、おまえのせいで、どんどん馬鹿になっていくんだよ…ッ」 あまりにも強すぎる快感に情緒までもがたつき始めているようだ。 嗚咽混じりに呻けば、四川は少しだけ目を丸くする。 そして、その耳が僅かに赤くなったのを俺は見た。 「あんたさぁ……ッ、本当、馬鹿だよな」 「なっ、ぁ」 「だから、んなこと心配しなくていいんだよ。どうせ手遅れだからな」 完全に馬鹿にされている。 ムカついて、「なんだと」と振り返ろうとしたとき。 伸びてきた手に、顎を掴まれる。 「っは、んむ…ッ」 塞がれる唇。 俺の酸素を奪うようなそのキスに驚いて、慌ててやつから逃げようと身を捩るが腰に力が入らず。 それどころか、抱き竦められるように回された腕に、密着した背中に、流れ込んでくるやつの体温が酷く熱くて。 「っ、ふ、ぁ……」 クラクラする。 空気を求めるように藻掻けば、隙間を埋めるように深く唇を重ねられる。 息が出来ない。 それ以上に、抱き竦められた下半身、主にケツの下に押し付けられた不自然な膨らみに頭がパンクしそうになった。 「っん、ぅ…ぅうう…っ!」 ケツの割れ目をなぞるように奴の腰が動き、タオル越しの嫌に硬い感触はかなりもどかしい。 逃げようと身を捩るけど、抱き竦めるように腰を押さえ付けられればまともに動くことすらままならず、それどころか余計体重が掛かってしまい深く押し付けられるそれに心臓諸々がやばい。 「っ、ふ、ぅ…ッ」 擦りつけるように腰を動かされ、指で解された窄みにタオル越しながらも性器が掠める度に腰が動いてしまう。 もどかしい、悪趣味極まりない四川の戯れに不可抗力ながらも中途半端に弄くり回された体はまんまと反応してしまって。 どうしてもタオルのないときのその感触を考えてしまい、酷く、喉が乾く。 「ん、ぅ……っ」 蒸し風呂状態のシャワールーム。 だからだろう、俺の判断能力が降下してしまったに違いない。 だってそれしか考えられない。自分から、四川のに擦り付けようなんて血迷った考えが出てくるなんて。 「んっ、ぅ、ふ……っ」 あくまでも四川に気付かれないように、腰を動かして四川に下半身を擦り寄らせていたのだがまあ普通に考えてみればやつからは丸見えなわけで。 「…おい」 離れる唇。 呆れたような四川の声に、ビクッと肩が跳ねた。 バレたのだろうか、そう内心怖気付いた矢先。 伸びてきた四川の手に思いっきりケツを鷲掴みにされた。 「お前、そんなに尻癖悪かったか?…なあ」 大きく無骨な掌にぐにっと揉みくだされ、その力強さに腰が震える。 耳元、耳朶に触れる四川の唇がくすぐったくて、それ以上に気づかれたことによる羞恥居た堪れなさ等と後悔の念で頭がパンクしそうになってしまい、 「な、なんのことだよ」 何事もなかったかのようにクールに受け流そうとしたら、「しらばっくれんじゃねえよ」とケツの穴に指を捩じ込まれる。 「っ、ぁ、ちょ、やっ」 「こんなにケツマンコヒクつかせてよく言うよな、素直にお願いしろよ。『挿入れて下さい』って」 「な、ぁ…ッ」 そんな、そんな翔太の所有しているエロ漫画みたいな単語を…! 聞いてるこっちが恥ずかしくなって、それ以上にそんな四川の言葉に反応して下腹部に力を入れてしまう自分が恥ずかしくなって。 「っそんなんじゃ、ないって…言って…っ」 「はあ?嘘ついてんじゃねえよ…さっきから俺の指しゃぶって離さねえのは誰だよ、あぁ?」 それはお前が妙な動かし方するせいで、と反論しようとするがぐずんだ肛門を思いっきり左右に割られ、反論は小さな悲鳴になって消えた。 「や、ぁ、おい、拡げんなってば…ッ!」 「拡げねえと入らねーだろ」 「……ッ!」 入れなくてもいい。そう言い返せばいいとわかっていたのに、咄嗟さに言葉が出なくて。 押し広げられた肛門の内部、生暖かい蒸気が直接流れ込んでくる。 入れてもらえる。 そんな四川の言葉が頭の中で復唱されては自分の腹の奥がきゅんってなるのがわかって、死にたい。 「どんだけ期待してんだよ、お前」 どうやら内部の動き四川にまで伝わっていたようで、そう笑う四川に余計居た堪れなくなったとき。 体の下のタオルが引き抜かれる。 勃起した四川の性器が露わになって、相変わらずこちらの自尊心を刺激してくるようなそのでかさに息を飲んだ。 「っ、やっぱり、いい…っ」 バクバクとうるさくなる心臓。 実物を前にするとどうしようもなく動揺してしまう。 というかよく考えなくても俺はなにを考えてるんだ、こいつのものを入れてもらいたいだなんて。 洒落にならない。 「……お前さぁ、何か勘違いしてね?」 「っ、え」 「お前が入れて欲しいから入れるんじゃなくて、俺が突っ込みたいから入れるんだよ」 と、さながら悪魔のようなことを悪魔のような笑顔で口にする四川に「ひぇ」ってなった矢先。 四川に腰を抱き寄せられる。 瞬間、にゅるりとした嫌な感触がケツの割れ目に思いっきり押し付けられた。 「っ、い、ぁッちょ、待っ、ぁ」 慌てて動こうとする度に割れ目、ケツの穴をなぞるように擦り付けられる性器に、その熱に、鼓動は更に加速して。 やつの先走りを擦り付けるかのようにやらしく腰を動かされる度に擦れ合う臀部から濡れた音がして。 挿入されてるわけではないのに、それ以上に剥き出しになった性器の感触がやけに生々しい。 「おい、動くなよ。入んねえだろ」 そう笑う四川は腰を動かす。 窄みに亀頭部分が掠める度にぞくぞくと背筋が震え、挿入された時とはまた違う、焦れったい快感が込み上げてきて。 「っ、やだ、これッ、いやだ…っ」 「うるせぇ、お前がクネクネクネクネ動くから入んねーんだろうが」 「っ、ひ、ぁッ」 「ほら、動くんじゃねえよ。…じっとしろ」 嘘だ、絶対わざとだ。 ケツを揉みながらその割れ目に沿って腰を動かしてくる四川はどう見ても人をからかって愉しんでいる気配しか感じなくて。 そんな四川にムカついてムカついて張っ倒してやりたいのに、にゅるにゅるとした性器でいっぱいになったケツの方に意識がいってしまい落ち着かなくて。 「も、入れなくていい、いいからっ」 だから、降ろしてくれ。 そう懇願するのに、やつは笑うばかりで。 肛門を掠める度にヒクつく体内に情けなくて恥ずかしくて、それ以上にケツを性器に見立てて擬似挿入を楽しまれているというこの状況そのものが屈辱以外の何物でもない。 「分かった、分かったから。ちゃんと入れてやっから拗ねんなよ」 完全に楽しんでいる四川はそう言って、指で広げられたそこに先端を宛てがった。 ぐっと肉の感触が押し付けられ、全身が強張る。 瞬間。 「っ、ぁ、ひぃ…ッ!」 ずりゅっと濡れた音とともに勢い良く肛門を擦り上げられ、拍子にその凹凸部分に内壁を抉られた。 「っ、もっ、四川…ッ」 「あれ、おかしいな。上手く入んねえわ」 嘘つけ!絶対わざとだろうが! にやにや笑いながら擦り付けてくる恨めしくて、それ以上にもどかしさのあまりにこっちの方が我慢の限界に近付いているのが嫌でもわかった。 目の前に欲しいものがあるのに、ずっとお預けを食らっているようなそんな焦れったさに耐えきれず、俺は四川を睨む。 「なんだよ、言いたいことあるならハッキリ言えばいいだろ?」 「っ、〜〜ッ、お前なんて嫌いだ…ッ!」 「あっそ。なら、止めるか?」 止める気なんてないくせに、どうして自分からそんなことを言うのだろうか。わかってる、こいつ完全に俺をコキ下ろすつもりなのだろう。 それでも、今更後に引けなくて。 このまま中途半端に掻き乱されるくらいなら、いっそのこと。 「……っ」 「…あ?」 「お願いだから…っも、意地悪すんなよ……ッ」 早く入れてくれ、と言葉にするには俺には勇気が足りなくて。 それでも、赤くなるのを堪えきれずにそう懇願すれば四川は笑う。 「どうしようもねえやつ」 俺も、そう思う。 * * * * * 疲れと汚れを落とすために風呂に入ったというのに風呂に入る前より疲れるとはどういうことなのだろうか。 「……熱い」 「逆上せたんじゃね」 「…………」 こいつ、元凶のくせして他人事である。 「ってなに自分だけアイス食ってんだよ!」 「は?暑いからに決まってんだろ」 いやそれはわかるけど俺の分も用意してくれたっていいではないか。 言い返そうと思ったが、言ったところで四川が動くやつではないので言葉をぐっと飲み込む。 俺もアイス食いたい。 買ってくるかな、なんて思いながら視線を逸らした時、目の前に突き出されるのはアイスバー。 「ん」 「…なに、これ」 「やる」 「え」 嘘だろ、どういう風の吹き回しだ。 戸惑ったが、とにかく冷やしたい今目の前の氷菓には敵わない。 「か、返せって言ったって返さないからな」 「好きにしたらいいだろ」 「…本当にいいのか?後から文句言わないか?」 「言わねえよ。…んだよ、いらねーのかよ」 「い、いる!」 慌てて頷く俺。 つい受け取ってしまったが、ここまで来れば下がれない。 「ありがとう」とだけ返せば、そのまま四川はどっか行った。 なんだよ、冷たいやつだな。いや別に優しくしてほしいわけではないが、もう少しこう、労ってくれたりだな。 なんて思いながら四川がいなくなった後を睨んでいると。 「あー外暑いなー。干乾びそ」 入れ違うように入ってきた紀平さんは汗を流しながしながら真っ直ぐと冷蔵庫へと歩いていく。 「アイスアイス〜♪」 その紀平さんの鼻歌に、俺はアイスを咥えていた手を止める。 いや、まさか、まさかな。 「…ん?あれ?」 このアイスは四川から貰ったものだ。紀平さんのアイスとは関係ないはずだ。だから大丈夫大丈夫いけるまだいける。 「…………ない」 そうぽつりと、紀平さんの口から出た言葉に背筋が寒くなるのがわかった。 大丈夫大丈夫大丈夫俺ならやれる大丈夫大丈夫。 そう必死に言い聞かせながら無心で目の前のアイスを隠滅させようとした、その時だ。 肩に、冷たい手が掛けられる。 「かなたんさぁ、随分美味しそうなアイスを食べてるね」 背後から聞こえてくる低い声に、全身からどっと嫌な汗が溢れていく。 おい四川まさかあの野郎。まさか。おい。 「ちょっと口の中見せてね」 まさかアイス一本でここまで火照りが取れるとは思いもしなかった。 それどころか、肝の奥まで底冷えしたのは間違えて冷蔵室に入った時以来ではないだろうか。 四川許すまじ。 『紀平』と書かれたアイスの抜け殻を握り締め、俺は涙ながらに四川への復讐を誓った。 end |