時間無制限の我慢比べ 説明と言われても、これはあれだ。どう考えても生理的なあれなわけで男なら仕方ないことで……。 「ひっ、ぅ…ッ!」 絡み付いてくる指は勃起したその膨らみを揉みくだす。 逃れようと腰を引けば、背後の司にぶつかってしまった。 拍子に、ケツの上辺りに嫌な感触が当たる。 硬い、その感触はどう考えてもあれしかない。 「っ、お、まえ…っ」 血の気が引き、慌てて司から離れようとするが掴まれた手に無理矢理腰を抱き寄せられ、結果、強制密着。 もしかしてわざとではないのだろうかと勘繰りたくなるような動きで下腹部のそれを押し付けられ、司の手と下半身に挟まれなんかもう死にそうになる。 「っ、ぅ、や…っ」 「早く」 「うぅぅぅ…」 俺がもたつけばもたつくほど次第に司の手の動きは大胆になる。 掌全体を使って柔らかく揉まれる度に腰から力が抜け落ちそうになり、それは俺がやつの言う事を聞くまで止めないつもりなのだろう。たちが悪い。 「……原田さん」 絶対言ってやるもんか。 強要されればされるほど俺の反抗心に火が着く。 けれど、耳朶を舐め上げられたらそんな思考もぶっ飛んでしまった。 「っ、ぁ、や、司…っ司…っ」 やめろ、と言いたいのに頭が回らなくて、おまけに呂律も回らないわで立っていることすら出来なくて。 耳は、耳だけは、駄目なのだ。 耳朶の窪みから耳の裏までねっとりと舌を這わされれば焼けたように熱くなったそこは最早蕩けそうな気配すらあった。 イケそうでイケないもどかしい下半身の刺激は、限界まで張り詰めた下腹部にとって毒以外の何者でもない。 「言えよ」 焦れたような司の声が、吐息とともに鼓膜に染み込む。 その低い声に、びくりと体が反応した。 息が乱れる。汗も、止まらない。立っていることすら出来なくて、ガクガクになった足腰では司が居なくなった途端立てなくなるのが目に見えてる。 このままでは、本当におかしくなる。 本能がそう叫ぶのだ、仕方ない。だからこれは別に司が怖くてビビったわけではないし敢えて、敢えて流されてやったのだからノーカンだ。 「っ、勃って、んだよ……っ」 震える喉を使い、振り絞り出した声は酷く掠れていた。 それでも、司の耳には届いてたようだ。 「なんで?」 それでこの反応だからこいつの性格は絶対悪い。 「なんで、って、ぇ…」 「なんで勃起してんの?」 「ぁ…っ?!」 ぐり、と、勃起したそこを円を描くよう揉まれ、腰が揺れる。 鏡越し、司と目があった。 咄嗟に目を逸らそうとした鏡の中、司の大きな手が自分の下腹部を弄るのが目につく。 なんでそんなことまで言わなければならないのか、全くもって理解できない。理解できないが、このままでは司から離れることが出来ない。 でも、やっぱり、そんなこと。 「っ、それは…」 「それは?…何?」 「お前の、せいだろ…っ」 「例えば?」 「うぅぅ〜〜…ッ!」 「原田さん、引っ掻いても駄目だから」 「ちゃんと聞かせて」と、目を細める鏡の中の司。 その長い指がジッパーに触れるのを見て、全身が緊張する。 けれど、金具を摘んたまま司は何もしてこなくて。 「原田さん」 促すように、名前を呼んでくる司に確信する。 俺がイキそうなの分かってて、焦らすつもりだ。 何もしてこないのは万々歳なのだが、この状況でそれはただの嫌がらせだ。 なんだかもう司に玩ばれているようで情けなくて泣きそうだったが、司と我慢比べは自分の身を滅ぼすだけだと知ってしまった今選択肢はなくて。 「つ、かさの…手が気持ち良かったからだよ…っ」 もうどうにでもなってしまえ。 「なんか文句あんのかよ!」と若干泣きながらそう吠えれば、一瞬、鏡の中の司が嬉しそうに笑った…ような気がした。 そして次の瞬間、伸びてきた手に顎を掴まれ、無理矢理唇を塞がれる。もう何度目の野郎とのキスかはわからない。カウントするだけ虚しくなるだけだ。 |