フラグ壊してまたフラグ 「……なんか、ムカつく」 ぽつりと呟いた司に「え?」と聞き返そうとした矢先のことだった。 首元、いきなり顔を埋めてきた司はそのまま首筋に舌を這わしてきて。 「っ、ちょ、司…っ、ん…ッ」 まるで鬱血痕を上塗りするかのように強く吸われ、引っ張られるような微かな痛みに全身が強張った。 身を捩って逃げようとしても、背中に回された腕に抱き締められて逃げられない。 舐められた後が痺れるように熱くて、吹き掛かる吐息に、伸し掛かってくる体重。 バランスを崩しそうになったが、洗面台に手をつくことでなんとか回避出来た。 「っ、司ってば!おい…っ!」 あまりにも強引過ぎる司に、やつの髪をぐいぐい引っ張って引き剥がしてやろうとするけれども司は素知らぬ顔で。 「ッ司、」 「…他に、どこに付けてもらったわけ?」 「ど、どこって…」 そんなの一々覚えてねえよ。 つい店長との行為で夢中になっていた自分まで思い出してしまい、顔がかあっと熱くなる。 口籠る俺に、司はやっぱり怒っているようで。 「…」 着ていたTシャツの襟首に指を捩じ込まれたかと思えば、そのままぐいっと大きく引っ張られる。 「っ、ちょ、あ、こら!何して…っ」 「原田さん、店長と良かったから付き合ったんだろ?」 「……へ?」 いや、それは紀平さんが余計な改竄施しただけであって俺にはそんなつもりは毛頭もない。 「っだから、それは…」 「…なら、店長より気持ちよくしたら付き合ってくれんの?」 だから、どうしてそうなるのだ。 しかしそれはつまり司は俺と付き合いたいということになってしまうわけで遠回しな告白か?!と思ったがこんな素敵な状況でそんな言葉吐かれたところで嫌な予感しかしなくて。 「お…俺は、店長と付き合ってるから……」 司とは付き合わない、と首を横に振れば司の周囲の空気が凍り付く。 なんでだ、ホイホイ乗り換えるよりかは一途貫いた方が好感度高いんじゃなかったのか。なんでさっきよりも司がキレるんだよ。もうやだ帰りたい。 |