四川×原田で蒸し風呂マッサージネタ前編

突然だが、休憩室には店員用のシャワールームが取り付けられている。
本当なんのために必要なのかよくわからないが分からないままでいいような気もする。
というわけで、あるものは使うべきだろう。
朝から晩までぶっ通しで雑用に勤しんだ俺は疲れと汚れを落とすため、休憩室にあるこのシャワールームに入った。毎日わざわざ俺が磨いているためもちろんシャワールームはピカピカだ。
だからだろう。自分ち以外で全裸になるなんてマジ勘弁思考だった俺もつい気が緩んでしまい、ここが店の中だということを忘れ寛いでいた。
お陰で、シャワールームへ近づいてくる足音を聞き逃していたのだ。


「はぁー…」


なんて、浴槽に浸かって完全にリラックスしていたときだった。
ガラリとシャワールームの扉が開かれる。


「っあ?!」


いきなりのシャワールーム使用者に驚いて、咄嗟に飛び起きる。
そこには裸の四川がいて。
腰にタオルを巻いていただけまだましだろうが、リラックスしてる最中に見たくない顔ナンバーワンのお出ましに心臓が止まりそうになる。


「…んだよ、いたんならいたって言えよ」

「な…ッ!着替え見たらわかるだろ!っておい!なに入ってきてんだよ!」


当たり前のように浴槽にまで入ってこようとする四川に驚き、慌てて追い返そうとすれば「はあ?」と半ギレされる。
キレたいのはこっちの方なんだけども!


「はあ?じゃねえよ!俺!俺入ってんだろうが!」

「文句あんならてめぇが上がれよ。俺は今入りてーんだよ」


む、無茶苦茶な…!
どんな俺ルールだよと言い返そうとした矢先、「おいもっと向こう行け」と浴槽の隅へ追いやられる。


「ちょ、おい、おいおいおいっ!」


人を押しのけるように強引に浴槽に入ってくる四川。
図体無駄にでかい野郎が入ってきたらもちろんお湯が減るわけで。
それどころか、狭い。狭すぎる。


「普通、人が入ってるところ入ってくるかよ…っ」

「だからぁ、文句あんなら上がれって」

「ぅ……っ」


今すぐでも上がりたかった。だってこんなに密着しなければならないしそもそも同じお湯に浸かってるっていう図を想像しただけで不快極まりないのだが、だが!……悲しいことに俺は全裸だった。
正直こいつの前で全裸晒したくないし、後からきた年下に睨まれて遠慮して上がるなんて真似、絶対したくない。
ようするに、四川の言うことは聞きたくなかったのだ。


「あ……上がらない」

「あ?」

「なんでお前の言うこと聞かなきゃいけねえんだよ」

「……へえ?」


あ、今四川絶対キレた。
変わる声色にそんな気がしたが、それでも、俺は居座り続ける。
これでいちいちこいつの言いなりになっていたら一生言いように扱われかねない。
せめて、やつと顔を合わせないよう背中を向けるように壁側へと正面向いた時だ。


「なら、勝手にしろ」


ちゃぷり、と背後で波立つ音がして、四川の気配が動くのが分かった。
てっきり無理矢理でも追い出されるかと思っていただけに、あっさりと居座る俺を受け入れてくれるやつが意外で、少しだけほっとしたときだった。

背後、脇の下から伸びてきた手が上半身胸元に回される。


「……へ?」


一瞬、それが四川の手だと気付くのに遅れ、瞬間、思いっきり胸を揉まれて「うぉぐ」と変な声が出てしまった。


「っちょ、なに、おい…っ!」

「は?なにって…せっかくだから体洗ってやるよ」

「はあ?!いらねえよ!つか、も…揉むな……ッ!」

「あ?いらねえの?」


そう、少しだけ残念そうな四川の声。
だって、そうだろう。絶対ろくなことじゃないし、嫌な予感しかしない。
「いらねえ」ともう一度強く言い返しす。


「いつもパシってるからな、たまには礼にマッサージでもしてやろうかと思ったんだけどな」


すると、あっさりと俺から手を引く四川は「そっか、いらねえのか」と呟く。
まさか四川の口からそんな、『礼』などという言葉が出るなんて思わなくて。
驚きのあまり背後のやつを振り返る。


「ま……マッサージ?お前、出来んのか?」

「まあな。知り合いのエステ師からソープ使ったマッサージ教えてもらった」

「へ、へぇ〜…」

「風呂でやると通常のマッサージより効果あるっつってたからさぁ。…あんた、体疲れてんだろ?」


珍しく気遣ってくる四川に一体どういう風の吹き回しだと戸惑うも、悪い気はしない。
「ま、まあな!」と慌てて返す。
マッサージ。そういや最近主に背後のこいつのせいで全身の筋肉(主に下半身)が死にそうになってるのは確かだ。
正直少しだけ、そのマッサージとやらに興味はあった。


「…なあ、おい四川」

「なんだよ」

「そのマッサージって、どうやるんだ?」

「なんだ、やって欲しいのか?」


聞き返され、ぐっと言葉に詰まる。
こいつに何かを頼むなんてこと、出来ることならしたくなかったが元はといえば言い出したのは四川だ。


「いや、まあ、その……やらせてやらないでもないぞ?」


結果、なるべくお願いするような形を避けてみたらなんとも奇妙な言葉遣いになってしまったが、どうやら意味は伝わったようだ。
僅かに、四川の口角が持ち上がるのを俺は見た。


「まじ、ちょろすぎ」

「あ?」

「いや、なんでもねえ。ならもっとこっちに来いよ、離れてっとやりにくいから」


そう言われるがまま、後ろに下がるがもちろん背後には四川がいるわけで。裸同士、密着したくはないがマッサージのためだ。少ないお湯の中、一人ドキドキしながら待っていると不意に肩を掴まれる。


「えっ、ぁ、ちょ、なに」

「ただのボディソープだっての。おい、動くなよ」


ぬるりとしたその指先に肩から背筋のラインをなぞられ、その慣れない感触はこそばゆい。
動くな、と言われても…。
正直、触られ慣れていない背中はかなり弱いのだ。
少しなぞられただけでも震えそうになるのに、こんなにねっとりと触られたら吹き出しそうになって。


「ん、ぅ……ッ」


せめて動かないよう、必死に自分の膝を掴んで堪える。

肩甲骨、背筋、腰のラインへとゆっくりと背中全体の筋肉を解すように指で抑えられれば、確かに気持ちいい。
お湯で温まった体はポカポカしてきて、なんだか眠たくなってくる。


「あ、そこ、すげぇいい…」

「あ?どこ?ここ?」

「んっ、そこ、お前の親指んとこ」


「もっと」と小さく呟けば、「はいはい」と面倒臭そうに四川は俺の言葉を聞いてくれる。
そして、肩甲骨側。
ぐりっと強い力で押された瞬間、微睡み掛けていた脳味噌が弾け、目の前が真っ白になった。


「は、あ、ぁあああッ!」


うわ、やべ、と思った時には時既に遅し。
自分でもドン引きの変な声を出してしまったことに後悔したとき、背後で四川が笑う気配がして。


「お前、他のやつらに聞かれてたら勘違いされんだろ」

「わ、わり……今のまじ気持ちよかったから」


「お前、本当上手いな」と感心するように返せば、「そりゃな」とやつは含めたように笑うだけで。


「ほら、もっとこっち来いよ。今度は足してやるから」

「え?でも、これ以上下がったら…」

「俺の膝、来ればいいだろ。別にお前がこっち向いてくれるんならそっちのがはえーんだけど」

「そ、それは無理!」


そんなことしたらもろに見えてしまう。今更恥じらってる段でもないのは重々承知しているのだが、やはりそこらへん開き直ることは出来なくて。
仕方なく俺は四川の膝に座ることになったんだけども。


「……」

「……」

「……」


こ、これはやばい。いや、なにがというか、絵ヅラ的にも俺のメンタル的にも。
タオル越しとはいえやつのあれそれをいやでも意識してしまい、なんだか頭に血が昇りそうになるが、四川は全く気にした様子はなく。
それどころか。


「……ん、ぅ……」


剥き出しになった腿に、大きな四川の手が這わされる。
探るような手付きで膝の上から付け根まで、
全体の筋肉を解されれば擽ったさよりも恥ずかしさが勝ってしまって。


「ちょ、っと、なあ、おい……っ」

「今度はなんだよ」

「それ以上は上は、その、まずい…」


ゴニョゴニョと口ごもりながら、俺は、這わされた四川の手に自分の手を重ね、やんわり止める。

少しだけ意外そうな顔をして、やつは笑った。


「今更照れることかよ。てめえの裸なんて見飽きたんだよ」


そ、それもそれでムカつくが、要するに下心はないという事だろうか。
どちらにせよこちらの心臓に悪いことに変わりないが、こいつは俺の制止を聞くつもりはないらしい。


「あっ、も……」


腿の付け根、這わされる手に筋をなぞられ下半身が震える。
こいつに他意はないとしてもだ。生々しすぎるのだ、手付きが。
浴槽の中、下半身を這うやつの手が目につき、顔面に血が集まる。
ただのマッサージだというのに、水の中勃起し始めている自分のが見えたから、余計。


「ふ、ぅ、っく…」

「…声、我慢すんなよ。別にやらしいことしてるわけじゃないんだから」


唇を噛む俺に、耳元で強請られる。
確かに、それもそうだけど。それでも、油断したらさっきみたいな声が出てしまいそうで怖かった。


「ぁ、や…ぁあ…ッ」


言われるがまま、唇を緩めたら案の定声を我慢することが出来なくて。
局部を避けるように足を揉む四川の指に、本来ならば安堵しなくてはならないはずなのに、どういうことだろうか。逆に焦れったしくて、血液が集まった下半身がもぞもぞしてくる始末だ。


「…そろそろか」


小さな声。囁くようなそれに、どういう意味かと背後を振り返ろうとした矢先だった。


「ひあ…ッ?!」


徐ろに股間の持ち上がりかけたそれを鷲掴みされ、飛び上がりそうになる。

何事かと立ち上がろうとするが、それを掴む手は離れなくて。
それどころか、ソープで濡れたぬるぬるの四川の掌に掴まれれば滑るようなその感触に先程以上に血液は掴まれたそこに集まるわけで。


「っおい、そこは…」

「あ?ただのマッサージだよ。何か問題でもあるのか?」


いや、大いにある。そう言い返したかったが、よくよく考えてみればマッサージで血流がよくなって下半身に血が集中してしまうことは珍しくない(はずだ)。ならば、なんの問題もない。

返事の代わりに、小さく首を横に振れば「だよな」とやつは満足そうに笑う。


「だよなぁ?マッサージで気持ちよくなってんだから、仕方ねえよな。これも」


そう、これはマッサージなのだ。気持ちよくなるのは仕方ないしつられて勃起するのも仕方ない。
なのに。


「っ、ぅ、あ、ぁあっ」


四川の膝の上、いつの間にかに浴槽の湯は抜け剥き出しになった下半身。
ソープで濡れたやつの掌でねちねちと性器全体を扱き上げられれば逆上せ掛けた脳味噌はヤカンくらいは沸かせそうなくらい熱くて。


「しせ、んっ、そこ、きもち、い……ッ」

「どこだよ」


わかってるくせに、わざわざ人に聞くのだ。こいつもつくづく性格が悪い。
「ここ」と誘導するようにやつの手を動かし、性器の裏、そこに浮かび上がる太い血管をやつの手を使ってなぞれば下半身に直接流れ込んでくるその刺激に腰が震える。


「ああ…ここか」

「っふ、あっ、そこ、そこッ…!まじで、やばいから…ッ!」


指先で揉まれるだけでも何も考えられなくなるほどの快感が流れ込んできて、開いた口から唾液が溢れそうになる。
そんな俺の反応を観察しながらも、やつはその手を緩めなくて。
それどころか、親指に加えられる力に僅かに圧迫された性器は馬鹿みたいに勃起しては尖端から垂れる先走りとソープが混ざってもうなにがなんだかわからない。


「っあ、イクっ、イクっ!」

「マッサージでイクのかよ、お前」

「だって、ぁっ、気持ちよすぎて、もっ、っあ、無理…っ!それ、ダメ、ダメだってばぁっ!」


瞬間、勢い良く溢れ出す精液が浴槽の壁に飛び散る。
射精する最中でも、四川の手は止まらなくて。


「っ、ぁあ、ん、ぅううッ!」


突っ張ってた睾丸を柔らかく揉まれ、その指の感触に腰が痙攣した。
強すぎる射精感に何も考えられなくなって、腹の奥、溜まった精液が行き場もなく吐出される。

長い間の断続的な射精を終え、ようやく、呼吸することが出来るようになった。


「は…っ、んぅ……ッ」


あまりの快感に麻痺した思考はまだ働かなくて、ぼんやりと背後に寄りかかったとき。
背後の熱くて硬いその壁が浴槽ではなく人間、それも四川の上半身だということを思い出し、慌てて起き上がろうとした時。

下腹部。丁度ケツの下にある四川の下半身に硬い違和感を感じ、動きを止める。


「えっ、ちょ、お前、なんでボッ……」


次第に冷静になっていく脳味噌。
そして自分がとんでもなく流されていることに気付き、慌ててやつの上から退こうかとした時だ。


「っ、うおっ!」


腕を引っ張られ、無理やり空の浴槽へとひきずり戻される。
座ったその先で、先程よりもハッキリとやつの下半身のそれを感じるハメになって。


「は、離せッ!何がマッサージだッ!ただのセクハラじゃねえかよ!」

「今更おせーんだよ!しっかりイッといてセクハラ扱いとはいい度胸じゃねえか…ッ」


その言葉にイクイク連呼していた数分前の自分を思い出し居た堪れなくなる。
その隙に、腰に回された四川の腕に無理やり下腹部を固定された。


「や、ちょ……ッ!」


ケツの下、タオル越しに押し付けられる性器の感触に全身が熱くなる。
慌てて退こうとバタつくけど、動けない。
それどころか下半身のそれを押し付けられ、ケツの割れ目をなぞるように腰を動かされれば馬鹿にされてるようでというか馬鹿にされているのだろう。酷く、顔が熱くなる。いや、顔だけではない。触れられた箇所も、全部。


「っやだ、まじ、…離せ…ってば…ぁあ…っ!」

「遠慮すんなよ、……ほら言っただろうが」


「いつもの礼だって」と、耳元で囁かれ、カッと耳が熱くなった。
背後のやつを睨めば、四川は底意地の悪そうな笑みを浮かべる。


「な、嬉しいだろ?鳴いて喜べよ」


少しでもこいつが労る心を持ち合わせていると信じた俺が馬鹿だった。




mokuji
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