チャイナ娘♂の災難B

こう、改めて見るとなんというかシュールだ。
モップにバケツにミニスカチャイナ。
…………うん、何も言うまい。

とにかく、さっさと終わらせよう。
平常心平常心と呟きながら両手でしっかりとモップを構えた俺は、腰に力を入れる。
そのままタイルの上を擦り上げようとしたとき。

ピロピロリン、となんとも可愛らしい音が響いた。
 

「!!」

「おい原田、お前は着替えなくていいって言ったはずだがどういうことだ?」

「て、店長…!ってなに撮ってんすか!」

「ハッ!手が勝手に……」


白々しい!

慌てて背後から現れた店長に備えるようモップを構える俺。
表に清掃中の看板出してたから誰もこないものだと油断していただけに、現れた店長に心臓が煩くなる。


「…そう構えるな。仕事中の相手を邪魔するほど俺も阿呆ではない。しかしまあ、まさかお前がそんなに着たかったがっていたとはな。俺なりに配慮をしてやったのだが、余計なお世話だったか?」


まさか四川から無理矢理着せられたなんて言う気にはなれなくて、意外そうな店長に俺は口籠る。
かなり誤解されているが、弱みと受け取られるよりかは開き直った方がいいだろう。
そう判断した俺は自分なりに精一杯ニヒルな笑みを浮かべてみる。


「そうですよ、べ…別にこれくらい俺だって全然余裕なんで…寧ろこん中で一番似合ってるんじゃねーの?俺?…的な?」


とにかくできる限り虚勢張ってみるが、言いながらなんか穴に潜りたくなる。
そんな俺をどう思ったかは知らないが、じっとこちらを見定めるように視線を向けた店長は「そうか」と笑みを浮かべた。


「ならば、お前には特別に仕事を与えてやろう」

「し、仕事…?」


ただならぬ嫌な予感。


「ああ、たまには便所掃除以外もしたいだろうしな。なに、そんな不安そうな顔をするな。

ちょっとした肉体労働だ」

mokuji
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