人選ミス(二回目)

「まあ、かなたんが店長と付き合うっていうんなら別に構わないよ。俺も協力するし」

「いいんですか?」

「勿論、だって面白そうだし」


そう言う紀平さんの笑顔に一瞬寒気がしたが、何故だろうか。
しかし、一人では心もとない状態である今紀平さんの協力はありがたい。


「あ…ありがとうございます…!」

「いえいえ、どーいたしまして」


ヘラヘラ笑う紀平さんに頭を撫でくり回される。
よく紀平さんに頭を撫でられるのだがそんなに俺の頭部は撫でやすい位置にあるのだろうかと疑問に思いながらも、悪い気はしなくて。


「それで?他のやつらに広めとけばいいわけ?」

「はい、なんか店長はそう言ってましたけど…」

「わかった、それなら任せてよ。ついでに尾ひれ背びれつけて広めとくから」


あ、せめて尾ひれぐらいにしといて下さい。
めっちゃ生き生きしてきた紀平さんになんだか早まったような気がしてならないが、どちらにせよ第三者の協力は不可欠で。
取り敢えず俺は紀平さんに任せておくことにした。

そもそもそれが間違いだったということを知るのに、然程時間は掛からなかった。



mokuji
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