チャイナ娘♂の災難A

四川から逃げるため、勢いのまま店に出てきたはいいが……。


「あれ?原田さん、結局着替えたんですか?」

「え、あ、あぁ…まあな」


店へ出るなり、レジの笹山とばったり鉢合わせしてしまったが、当の笹山はというと「似合ってますよ」と微笑むばかりで。
どこかの誰かさんのように鼻で笑ったりしないだけいいのだろうが、なんだろうか、こう、フォローされてる感が余計居た堪れなくなる。
まあ、かくいう笹山も男前台無しになるようなメイド服を身に纏っているのでこの場合はイーブンなのだろうが。


「あれ、でも確かチャイナ服って確かア……」

「あー!じゃ、俺、そろそろ行くわ。ご奉仕頑張ってな!」

「ありがとうございます。原田さんも頑張ってくださいね。少しの辛抱ですから」


こういうとき笹山の言葉は身に沁みる。
もう少し一緒に居たかったが、下手にボロ出して四川から無理矢理着替えさせられたことを勘繰られては堪らない。
颯爽とレジを離れた俺は日課である便所掃除を行うため客用便所へと向かった。


mokuji
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