まずは名前から 「てん、ちょ…っ…」 店長の指の動きで頭がいっぱいになって、軽く摘むように引っ張られれば刺すような刺激に全身が飛び上がりそうになった。 「利人だ」 「……へ…?」 「二人きりの時は名前で呼べ」 「そうすれば、少しは恋人らしいだろう」と笑う店長。 恋人。 その単語に胸の奥がじんと熱くなって、真っ暗な視界の中、本当に店長と自分しかいないような錯覚に陥る。 「り、ひと、さん……」 呂律の回らない口で、なぞるようにその名前を口にしたとき、胸元の店長の指が僅かに硬直した。 きゅっと突起を摘まれ、胸が震える。 それでも、なんでだろうか。そんな痛みも、悪くないと思える。 これが恋人パワーか。なんて驚いた時。 「……そうだ、それでいい」 満足したような店長の声。 ちゅっと小さな音を立て、頬に軽く押し付けられる唇の感触がむず痒くて。 「佳那汰」 耳たぶの側で、その艶やかな声に名前を呼ばれた瞬間、ぞくりと背筋に妙なものが走る。 店長に初めて名前を呼ばれた。 その事実に驚き、同時に妙な気分になった。それも束の間のことで。 「っ、りひとさ、ぁ…っ」 もう片方の突起を擽られ、身を捩る。 しかし背後の背もたれにぶつかってしまい、それ以上逃れることは出来なくて。 「っふ、ぁ……っ?」 不意に、ぬるりとした舌の感触が乳首に触れ、瞬間頭の中になんか色々なものがだだ漏れになる。 店長の指で神経が尖らせられていたそこは他の部位に比べ過敏になっているのは確実で、音を立てて唇で挟むようにして吸われた瞬間腰が大きく痙攣した。 |