学園アダルト

原田佳那汰、20歳。
なんか色々あってニートしてたけどその根性を叩き直せと兄にしばかれ、高校生活をやり直す羽目になったわけだが……。


「くそ、なんでこんなことに…」

「カナちゃん、制服似合ってるよ」

「そういうお前はなんで同じ学校に通う設定なのになんかアニメの制服みたいになってんの?え?」

「ありがとうカナちゃん」

「褒めてないからな?」


同様俺のお目付け役として入学することになった中谷翔太。
こいつはまだいい、メガネだし学生らしさがあるから。だけど俺は。


「これは、無理があるだろ…!」


久し振りに締めたネクタイが酷く恥ずかしくてなんだかもう周りの視線が気になって仕方がない。


「大丈夫だよカナちゃん、学生には見えなくても落ちこぼれホストには見えるから!」


なんのフォローだよ!
うっ……なぜか頭が痛くなってきた。


「あ、見えてきたよ!あれが今日から僕達が通う学校、アダルト学園だね!」

「お前凄まじい説明ゼリフを…」

「やめてそういうメタなこと言わないで」


と、揉めていると確かに前方にはなんかでかい学園が。


「ここが…今日から俺が通う学校……」


つくづくひでぇ名前だが、まあ、見た目は悪くない。
パンフレットで見た女子生徒の可愛い制服に期待に胸を踊らせながら、その校門へと一歩踏み入れた時だった。


「ピーッ!ピピーッ」


響き渡るそれはホイッスルの音で。
ざわつく周りの生徒。
俺もその中の一人で。


「え?え?なに?」

「あ、カナちゃん、あれ…!」


翔太が指差す方向を振り返れば、そこにはホイッスルを鳴らした張本人であろう人間が立っていて。
着崩した派手なジャージ、そして右手には竹刀。
満面の笑みを浮かべた色素の薄い短髪の男は、ホイッスルを咥えたまま俺へと歩み寄ってくる。


「君さー、確か転校生だよね?」

「え、あ、はぁ」

「その制服、違反だから今すぐ脱いでくれないかな?」


見掛けからして生徒指導の教師だろう。
てっきり隣の糞違反しまくってる翔太に言ってんのかと思ったけど、ジャージ姿の教師が見てるのは俺で。


「……えっ?!俺?!」

「そーそー、君。原田佳那汰君だっけ?」

「い、いや、つか、これ指定のはずなんじゃ…」


パンフレットの制服もこれだったし、何より他の生徒も同じ制服じゃねえか。
というか隣のコスプレメガネにはツッコミなしってどういうことだよと戸惑わずにはいられない。


「んー?聞いてない?君はこっちってことになってるから」


そういって、教師が取り出したのはあの可愛いと思っていた制服だった。
もう一度言おう、あの可愛いと思っていた女子の制服だった。


★★★


『困るんだよねぇ、入学早々違反とかさぁ。…あんまり俺も騒ぎ立てたくないんだよね、だからさ、ほら……早く着替えてよ?それともなに?俺が脱がせた方がいいのかな?』


生徒指導と言う名の公衆脱衣強要――?!


『おい、その焼きそばパンは俺のもんだって知らねえのか?』

『阿奈、制服似合わないよね』

『うるせえな、ぶりっ子ロン毛は黙ってろ!』

『先輩、こいつのことは気にしなくていいですから。遠慮しないで好きなの食べてもいいですよ』

『おい!てめえなに仕切っ』


――制服が似合わない後輩とやたら笑顔が素敵な後輩との出会い――。


『俺が保健体育の紀平でーす』

『そして俺がこの学園の理事長だッ!』


――睫毛――。


『……焼きそばパンまた切れてるし』

『あ、俺の焼きそばパン食うか?』

『いいのか?』

『ああ』

『ありがとう』


――焼きそばパンから芽生える友情――。

――そして――……。


『ご紹介にあずかりました、今年度PTA会長を務めさせていただくことになった原田未奈人です』


次回、『学園戦争〜焼きそばパンの逆襲〜』!
俺は無事卒業することが出来るのか!知らん!というかなんだこれ!ふざけてんのか!


翔太「ちょっとカナちゃ〜ん、ナレーションくらいちゃんとしてよ〜」

原田「んなこと出来るかよ!というかなんだよこれ!ただの俺いじめじゃねえか!誰だよこんなクソみたいなシナリオ書いたやつ誰だよ!」

司「俺だけど」

原田「薄々そんな気はしてたけども!」



続かない

mokuji
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