チャイナ娘♂の災難H

「んだよ、怒るのか?ならもっと怒れよ。本気で抵抗してみせろよ。…じゃねえと、まじでここで犯すぞ」


笑いながら耳朶に唇を寄せてくる四川。
腰に伸びた手に背筋のラインをなぞられ、「ひょっ」となんとも情けない声が出てしまう。


「っ、正気かよ、ふざけんな、バカっ、誰か来たら…ッ」

「来たら?」

「き、来たら……」


想像して、ぞくりと背中に寒気が走る。
悪寒か、それとも別の何かか、俺には判断つかない。
ただ、目の前のこいつがまじで別に見つかっても構わないとかろくでもないこと考えていることは一目瞭然で。


「ま、どっちにしろ困るのはお前だよな。そんなこっ恥ずかしい格好、普通の神経したら無理だろ」

「おっ、おい!お前だってさっきまでこれだったろ!」

「はあ?意味わかんねー、俺がそんなの着るわけねえだろ」


こ、こいつ、自分の女装を記憶から消してやがる!!
真顔ですっとぼける四川にこの野郎と殴りかかろうとするが、手首の手錠がそれを邪魔した。


「それに比べて原田サンは自主的にこんなもの着て仕事頑張ってんだもんなぁ。さっすが」

「うおおお!まじお前覚えとけよ!これ外れたらぜってー殴る!」


あまりにもバカにした四川の態度にブチ切れれば、ニヤニヤと笑う四川は「おー怖」と大げさに肩を竦めた。
そして、にこりと笑った。
それはいつも見せてる根性ひん曲がったような邪悪な笑みではなく、どこはかとなく胡散臭さを匂わせる爽やかな笑顔で。


「でもま、俺を殴るなら先にやることがあるだろ」


そういって、四川はどこからか取り出した小さな手錠の鍵を自分の舌の上に乗せ、はにかんだ。


「なあ?」

mokuji
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