対面式

生徒会室内。
無駄にだだっ広いその部屋の中央に置かれたテーブルの周りに連中はすでについていた。


「仙道、遅いですよ」


その内の一人、ド派手な金髪の上品な顔立ちをしたどっかの絵本の王子様みたいなそいつは俺の姿を見付けるなり笑う。
生徒会副会長・石動千春(いするぎちはる)。
この役員たちの中では唯一の顔見知りで、悪友だったりする。


「ごめんねー、早起きしたんだけど純に捕まっちゃってさ」

「おや、それは災難でしたね。それより早く席についたらどうですか?」

「ん、そーだね」


促され、『会計』と書かれたネームプレートが置かれた席へ移動しようとしたときだ。


「待てよ」


低い声に止められる。
声のする方に目を向ければ『生徒会長』のプレート。
赤茶髪の髪を整髪剤で弄ったその強面の会長の名前は確か、玉城由良(たまきゆら)。


「遅刻しておいて挨拶もなしかよ、なあ」


ゆらちゃんってかわいい名前だよねー。なんて思ってたら、椅子に凭れた会長はガンと机に足を乗せるようにして蹴る。
わあ、お行儀悪い。


「俺、今日から会計になります仙道京でーす。皆よろしくねー」


取り敢えずテーブルに座る他役員たちをぐるりと見渡し素敵な笑顔を振り撒いてみる。
しかし、残念ながらいつも気持ちが悪いくらいにこにこしている副会長ちーちゃんと双子の庶務君以外の役員(会長と書記君)の顔は怖い。
ノリが悪い男は嫌われちゃうんだぞー。


「……よろしく」


と、思いきや能面被ったみたいに表情のない書記君はそうぽつりと呟いた。
無造作な黒い髪にどこを見てるかわかんないような暗い目。
名前は確か、各務陽平(かがみようへい)。
隣の席の彼の顔を覗き「よろしくねー」と笑いかければぺこりと小さく会釈してくれる。
根暗かと思いきや、無口なだけなのだろうか。
なんて思いながら椅子を引こうとすれば、会長が「さっさと席につけ」と怒鳴ってきた。
今座ろうとしてんじゃん、このバ会長。

mokuji
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