大きいの二匹 「うわっ、びっくりしたー…」 というか、昇天しかけた。 無駄にでかい双子の重さは半端ない。 よろめきながら体勢を取り直せば、双子は大成功とでも言うかのようにハイタッチをする。 「おっはよー会計、っていうか書記と会計だけ?副会長たちは?」 「まだっぽい…ってか乗らないでよ、糞重いんだけど」 「あはは、会計が貧弱なだけなんじゃない?」 「そうそう、僕らスマートだし。ねー!」 「ねー!」 「いくらスマートでも二人分は重いの!……ぁー、くそ、いってぇ」 せっかくぼちぼち調子良くなってきたところだったのに。 双子たちの腕から逃げた俺は、そのままずくんずくんと痛む腰を擦る。 ほら、また痛み出した。 腰は鍛えようがないから嫌なんだ。 「なに、会計腰痛?ジジ臭ーい」 「あはは、張り切り過ぎちゃった?激しー!」 「うっさいってば、もー…」 本調子でない今、双子たちの相手をするのは辛いものがある。 大体こいつらでかいくせにスキンシップが激しいんだよ、というかたちが悪い。 ちーちゃん曰く一年の時はちっちゃくて可愛かったと言っていたので大きな動作はそのときの名残なのかもしれないが、こんなでかいの二匹にくっつかれたらこっちの身が持たない。 「あれ?会計もう帰んの?」 「俺、ようへー君に用があっただけだから」 そう、言いながら封筒を抱きかかえた俺に双子はむーっとぶすくれる。 「ふーん、つまんないのー」 「サボりだサボりだー悪い子だー」 「ちゃんと欠席って伝えてるからいいんだよ、別に。…んじゃ、ようへー君ありがとね」 「ん」 ホントはサボりだけど、まあ会長だってちーちゃんだって双子だってよくサボってるんだからイーブンだよね。 マコちゃんにバレたら怒られそうだが、まあ、サボって遊んでるわけじゃないんだしちょっとくらいは大目に見てもらいたい。 ようへー君から貰った封筒を無くさないよう抱きしめたまま、俺は生徒会室の前を後にした。 とにかく、どこかゆっくりできそうな場所を探そう。 |